第111話 七色・上着

 また断られた。昼飯抜きで回って成果はゼロだ。

 上着を脱いで公園のベンチに置く。初夏の陽気で汗だくだ。

 涼を求めて水飲み場で顔を洗う。飛び散る雫に日差しが反射し、七色に輝いた。

 冷たい水と虹を思わせる光が疲れた心を癒す。

 落ち込んでいる暇はないな。俺は深呼吸して、ビル街に向かった。

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