第099話 名前・女

 勾配の急な男坂を避け、私は女坂をのんびりと登った。

 子供を連れてきたかったが、生意気にも「神頼みなんて柄じゃない」と拒否された。

 社務所で絵馬を買い求め、一文字ずつ丁寧に志望校と子供の名前を書く。

 親ができることなんて、本当に限られている。

 春には桜が満開になりますように。

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