第093話 信号・名前


 残りわずかなバッテリーでSOS信号を送った。ヨットはいつまで持つだろう。冬の海は痛いほどに冷たく、体温が奪われていく。

 遠くから名前を呼ぶ声が聞こえ、そちらへ行こうとしたそのとき。

 腕をがっちり捕まれて僕は目を開けた。

「よく頑張ったな」

 救助隊が到着し、僕は危機から抜け出せた。

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