第076話 君に預ける

「君に預けるから好きに使いなよ」

 彼は傘を私に押しつけ、雨の中、タオルを頭に乗せて走り去った。

 どうせなら一つの傘で歩きたかったのにな。でも家が反対方向だから仕方がないか。

 家に着くころ雨は止み、東の空に虹がかかった。

 私はそれを撮影し、ありがとうの一言を添えて、彼に送信した。

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