第028話 爛れた視線

 廃墟に迷い込んでから視線を感じていた。誰もいない場所で、なぜそのような感覚がまとわりつくのか。

 壁に光を当てたとき謎は解けた。

 そこに磔られた物は、腐敗し、形を失いかけた遺体だ。

 崩れかけた皮膚に埋もれるように残っている眼球。それが私を見つめていた、爛れた視線の正体だった。


  ※探偵ものの主人公がイメージにあります。

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