第10話

 でも、少し違った。

 降ろしているのは、ここだった。


 そう、この部屋。


「危ない!!」


 ぼくは大きな男の子を窓際まで押し出した。

 途端に、機械音は激しくなり、部屋自体の降下が本格的に始まった。

 見る見るうちに、染みだらけの天井が空に浮かぶ雲のような高さになってきた。


 グーン……。

 グーン……。


 と、エレベーターのような降下音と共にぼくの視界を暗闇が覆う。

 地下へ。更に地下へと部屋が降りていく。


 ぼくはそこで、気を失った。

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