第二章 仙子族
第四十一話 兄上
「本当にご苦労だった、
「ねぎらいのお言葉、感謝します」
「まさか
祇宮祭最終日の翌日、五時間ほどの睡眠をとったあと、内裏へと出仕したわたしたちは、さっそく
「無事でよかったよ。まぁ、陰陽術師と科学者には死者が出てしまったが……。とにかく、お前たちが五体満足で戻ってきてくれて安心した」
「……あの、陛下。烏羽玉のことでとても気になることがあるのですが……」
「どんなことだ?」
わたしは烏羽玉が〈本来の姿〉と言っていた時に、皇帝一族だけが切ることを許された〈
「
「はい。色は骨のような白でしたが、たしかにあれは
「烏羽玉の容姿を教えてくれ。覚えている限り、事細かく」
わたしは初めて対峙したときの姿と印象、そして髪を斬り落としたあとから戦闘までに見聞きしたすべてを話した。
透けるように白い肌に白髪。紫の紅をひいた目に凄艶な笑顔。
極彩色の成れの果てのような黒い闇をはらんだ声……。
「陛下!」
わたしの声に反応した竜胆がいち早く
「す、すまんな、竜胆……。
「そうです。この目で見た全てです」
「……そうか」
「お前たちが会った烏羽玉は……、私の兄だ」
言葉が出なかった。
「といっても、実の兄ではない、というか、今それが判明して頭が混乱しているところだ」
「それは……」
「実の兄だと思っていた。父親は違うが、母親は同じだと、
はらはらと涙を流し始めた
でも、わたしの頭に浮かんだ推測は、
十五分くらいだろうか。竜胆に寄りかかっていた
「すまなかった。あまり、気を許せる存在がいないのでな。うん。私の方でも調べてみることにする。兄上……、いや、烏羽玉について」
「わかりました。わたしどももお手伝いいたします」
「ありがとう。頼りにしている」
長年愛して信じてきた存在がそれとは真逆の存在だと気づいた衝撃は計り知れない。
少しそっとしておいた方がいいだろう。
わたしと竜胆は
「ねぇ、どういうことなの⁉ 私、陛下と兄弟ってこと⁉」
「……ある意味、そうかもしれませんね」
「……はああ⁉」
「わたしと
「ど、どういうこと?」
「烏羽玉は
「そうよ。そう聞いているわ」
「つまり、もし廃后の姫君に
「……え」
「
「で、でも!」
「
そしてもしその姫が皇帝家の直系の血筋だったとしたら?
順当に歴史が紡がれていれば、その姫君が皇帝になるはずだったのかもしれない……。
「これは気軽に内裏で話せる内容ではありませんね」
「い、一大事じゃない!」
「文献を漁るしかありません。
「……いえ、きっとされているわ。だから、あのひとに聞きに行きましょう」
「あのひと……?」
「ものすごく癖のあるひとだから教えてくれるかはわからないけれど、多分、世界で一番ゴシップに詳しいひとだから、何か知っているかもしれない」
「なんていうひとですか?」
「
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