Rainy day



一滴、二滴と雨が降り出す

仕事も宿題も放り捨てて

ステップを踏みながら外へ出よう


髪を濡らす

肩を濡らす

脚を濡らす

冷たく研がれた水滴に

ゆっくりゆったり溺れてく


いつしか僕は

雨が降るのを望んでいた

心に棲む暗闇を

洗い流してくれるから




一滴、二滴と雨が降り出す

夢も現もどこかへ仕舞って

靴も履かずに外へ出よう


髪を穿つ

肩を穿つ

脚を穿つ

冷たく研がれた水滴に

ゆっくりゆったり裂かれてく


いつしか僕は

雨が降るのを祈っていた

心に棲む暗闇を

消し去ってくれるから




雨に溺れ

雨に裂かれ

けれど暗闇は

いつだって傍にいた


足元を見る

雨に濡れたアスファルトに

あの暗闇が広がっていた

じっとこちらを見つめている

そんな気がした


胸に手を当てると

そこには穴が開いていた

暗闇が住んでいた

拳ほどの空白だった




雨が止んだ




僕は雨が嫌いになった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る