第16話
「!?」
「おっ今の俺ならお前がビックリしてる事が分かるぞ?」
まさかビームを切られるとは思わなかったのか、天使スライムの動きは一瞬止まった。
そしてとんでもないステータスを持つ俺はジャンプひとつで奴がいる高さまで届く。
「これで終わりだな」
そして俺は『腐食の短剣』を振り下ろそうとして気づいた、俺が持つ『腐食の短剣』……刃が根元から消滅しとるー!
嘘だろマジかよ、この状態でどうやって切ったんだあのビームを、ていうか……。
「俺の虎の子の換金アイテムが消滅してるんですけど!」
そんな阿呆なことを大声でついつい言ってしまう俺は隙だらけである。
天使スライムはその背後にある虹色の炎を操り、それを俺にぶつけてきやがった。
「ぎゃあぁああああーーーーーー!」
さすがの俺も悲鳴をあげた。
だって炎に全身を炙られたんだからな、絶対に死ぬと思うじゃん。
そのまま落下して地面に落ちる、天使スライムは勝利を確信したのかそれ以上の追撃は行わずこちらの状況を見ていた。
そして俺は……何事もなく普通に起き上がる。
「!?!?!!?」
「あ~~びっくらこいた~~本当に死ぬかと思ったわ~~」
なんか天使スライムの方をちらっと見るとかなり驚いてるような感じだった、動きがやたらとコミカルでジェスチャーとも見て取れる感じだ。
ちなみに俺の方は無傷ではあるのだが少々…いやかなり困ったことになってる。
「って、なっなんだ……と………?」
俺の着ていた上下が消滅した。
自身の体は大丈夫なのだ、むしろ無傷なのだが衣類とかスマホとか短剣の持ち手部分とか全て消滅した!
そして消滅したものがもう1つある。それは今日このダンジョンに来てコツコツと集めたスライムの魔石である。
残ったのは足下に落ちるライセンスカード、よくあの炎を食らって残ってたなと不思議に思うが今はそれどころかじゃねぇ!
人としての尊厳と今日の稼ぎ、その他諸々とあまりにも多くの物を俺は奪われてしまった……当然俺は激怒した。
「……絶対許さねえ…マジ殺す、ぶっ殺す、絶対に地獄に落とすからな。許さねぇぞこのクソスライムが!」
俺の心の中の怒りが自然と口をついて暴れ出てくる、あのクソスライムめっめちゃくちゃ良いドロップアイテムとか出さない限りもう絶対に許さんぞ。
そして俺の怒りは神殺しの称号の真の力を引き出した、またあのアナウンスが頭に響く。
【おめでとうございます、新たなスキル『ゴッドブレイクアロー』を獲得しました】
ゴッドブレイクアロー? スキルの内容を確認したいのだが生憎ライセンスカードは足下に落ちたままで取る余裕もない。
クソスライムがまた魔法陣を出現させて白いビームを乱射してきやがった、なんかもう躱すとかそういう駆け引きがめんどくさくなったので一発受けてみることにする。
「俺の怒りの拳を食らえー!」
俺の拳で白いビームを殴る、結果もはや俺の体には何の効果もなかった。ビームの方が消滅した。
ふんっ何しろもう全裸だからな、消滅する服もないんだよ。
そんな俺の姿を目の当たりにしたクソスライムがまたもやコミカルな動きでとても慌てたように動いている。
「今更慌てたって遅いんだよ、この七光りウィングのクソスライムが……お前は八つ裂きだ!」
クソスライムの輪っかが巨大化し回転しだした、そしてそれが俺に向かって飛んでくる。
うざったいのでぶん殴ると天使の輪っかは粉々に砕け散った。
「なんだこの飴細工みたいな攻撃はお前ふざけてんのか?」
完全にガチギレしてる俺に睨みつけられたクソスライム、すると再び魔法陣を出して白いビームを連射してきた。
だからさ、それ効かねぇんだって。
言っちゃ悪いが多分アイツの攻撃が効かないであろう可能性はあった。
俺のステータスは軒並み異常過ぎるからだ。
どうしてもこんな世界だとその冗談みたいなステータスというのは何よりも圧倒的な力となる。
理不尽なのはダンジョンとモンスターだけではない、そこで力を得た人間もまた理不尽極まりない存在なのだ。
意味のない白いビームを何発もぶち込まれながらも俺は普通に歩く。
何十発ものビームを放ったしたクソスライム、それでもなお俺に何の効果もないことを理解したのだろうか。
何というやつだ、ここに来てさっき出現する時に現れた白い魔法陣を出現させたのだ。
「………は? 嘘だろ、てめっ自分は敵に逃げられないように結界まで使っておいてそんな舐めた真似するのかよ!」
俺はダッシュした、クソスライムが虹色に燃える炎の翼をパタパタさせるといきなり目の前に出入り口を封鎖していたのと同じ、しかしやたらと大きな結界が出現する。
アイツマジで逃げる気だな、逃がすかよ!
結界に蹴りをかます。すると結界までもアッサリ破壊出来てしまった。俺もクソスライムもビックリである。
「案外力ずくでどうにかなるもんなんだな魔法って!」
「ッ!!」
何やら文句がありそうなクソスライムだ、しかし全力で逃げに撤するヤツは新たに三枚の巨大な結界を出現させて俺の足止めをしてきた。
それらを全て破壊するには……スキルしかない。
拳や蹴りでは全部まとめて消えちまえとはいかないからな!
名前からして多分攻撃スキルだろうから、俺は運任せでスキルに全て任せる事にした。
「食らえ、俺の新必殺技を! 『ゴッドブレイクアロー』!」
スキルを発動させると同時に、三本の巨大で金色に輝く光の矢が頭上に出現した。
そして直後に発射、図体のわりに阿呆みたいに速いスピードで突撃していく光の矢。
クソスライムの結界がこれまたアッサリ破壊されていく……本当はあの結界、見た目だけのカスい結界だったのか?
『ゴッドブレイクアロー』を見たクソスライムがめっちゃくちゃビビってる。
全力で魔法陣を出そうとしていた。
クソスライムに俺の『ゴッドブレイクアロー』が届くか届かないかギリギリのタイミングでヤツは魔法陣を完成させた。
それにヤツが……触れやがった!
するとその姿は次の瞬間消え去った。
「あっクソが逃げやがったな、ふざけんなーー!」
【おめでとうございます、ユニークモンスター『七光りスライム』の撃退に成功しました。この功績により称号 『七光りの撃退者』を獲得しました。新たなスキル『レインボーフレア』 を獲得しました】
「ふざけんな…ふざけんな……ふざけんじゃねえぞあのクソスライムが!」
クソスライムを取り逃がした!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます