第6話 カゴメカゴメ(2)

朝だ……昨日夜更かししてしまったせいだからかまだ少し眠い。

「お母さんおはよう……」

「おはよう、茜アンタ何時だと思ってんの?

 遅刻するわよ。急ぎなさい。」

「えっ、お母さん今何時?」

「八時よ」 

やばい。部活の開始時間は八時三十分。

学校から家までかかる時間は三十分の為朝ご飯など食べてたら時間は余裕でオーバーする。

「お母さん!!行ってきます。」

「気をつけて行くのよー。」

はぁはぁ

私は全力疾走で学校に走っていく。

「おはようございます」

「はい、おはよう。

 西村さん、ずいぶんギリギリに来たわね」

「すみません、先生。寝坊してしまったでみたいで……」

「ふふ、誰だってそう言う時があるわよ。

 さぁ、自分の達位置について」

「はい」

良かった。怒られずにすんだ……

「茜!」

「どうし…たの」

ガッ

勢いよく柚が私の肩に手を置いた。

「アンタ!ヤバいわよ!!」

「えっ?」

どう言う事だろう……?

「一人カゴメには続きがあったみたいなの!!」

嫌な予感しかしない。

「一人カゴメは【負け】を認めるまで終わらない。

 それが続きらしいのよ!」

「どうして急にそんな事言い出すの!?」

「それが、私あの後お爺ちゃんと電話したのよ……

そしたら、お爺ちゃんも若い頃友達がやったらしく……

その子、一人カゴメやった後から『どこにいても何してもあの歌が!!……聞こえてくるんだ‥』って最初はお爺ちゃんもその友達の悪ふざけだと思って相手にしてなかったらしいんだけど……

結局、その人両耳にボールペンぶっ刺して死んだらしいののよ……」

「そんな……」

「お爺ちゃん達もね、その友達を助ける為色々方法を探したらしいのよ。そしたらね…一つだけ助かる方法があるらしいのよ。」

「柚!教えて!私まだ死にたくない!」

「それは…もう一度一人カゴメをやるのよ。」

「でも!それじゃ、また呪われるんじゃ!」

「一つだけ前やった一人カゴメと違うのよ。

 それは歌い手はいない事よ。

 始まるの歌がある様に終わりの歌がある……

 歌うのはアンタ一人よ、茜」

前は二人が居たから大丈夫だったけど…私一人じゃ…

「前やった所と同じ場所で一人で歌い、一人で当てる人をやり絶対何があっても答えず振り返らない。足音が無くなるまでやり続けるのよ。それで最後の歌は完成し呪いは解けるのよ。

…‥‥本当にごめんなさい。あの時私が茜を誘ったからこんな事に……私がジャンケンに負ければ……」

柚……

「柚のせいじゃないよ。私が参加するって自分で決めた事だし、それに柚が私と同じ状況になるのは嫌だから私で良かったと思うよ…」

「茜……」

「私は絶対死なない。絶対生きて帰ってくるから……その時はまた、よろしくね、柚。」

「茜……絶対生きて帰ってね。」

私はこの話を聞い為部活に集中できなかった。

でも、早く知れて良かったと思う。対処ができるから本当に良かった。

 絶対成功させて、またいつもの日常で生活する。

そう心に決め、私は部活後、神社に向かった。





学校から歩き続けようやく神社についた。

人は一人もいないようだ。これなら《一人カゴメ》ができる。私は決心して歌い出した。

「カーゴメ、カーゴメカーゴのナーカノ……」

ザッザッ

後ろから足音が聞こえ始めた。

「イーツイーツで〜あ〜う」

どんどん、足音が増えてき、音が大きくなってくる。

「後ろの正面だぁ〜れ」

もちろん、ここで振り返っていけない事を知っているので

振り返らない。

ザッザッザッザッザッザッ

 また、足音が大きくなった。いや足音の間が少なくなっている。

私が後ろを向かない為、怒っているのかも知れない。

……だんだん心細くなってきた。

でもここで頑張らないと……

終わりそうも無いので私はもう一度歌い出した

「カーゴメカーゴメカーゴのナーカノ……」

ザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッ

さらに足音が増えた。

「イーツイーツで〜あ〜う」

ザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッ

足音が……どんどん増えて大きくなっていく。怖い……

私は震える声で歌い続けた……


そして

「後ろの正面だぁ〜れ」

ザッザッザ

シーン

「……終わった?」

歌い終わるとあたりは静かになった。


ザッザッザ

「茜!おい、大丈夫か!!」

後ろから大智くんの声がした。

 良かった無事終わったんだ。私は震える体で後ろを振り向いた。



誰も……いな…い

まさか……

「後ろの正面だぁ〜れ」

私の隣から可愛らしさ声がした……

「あっ……あ、あ、あああ」

私は恐怖で声が出なかった。

そうだ……

終わってなかったんだ…さっき大智くんが来た時の足音も後ろの足音も……一緒だった……

それに私の名前の呼び方だって違かった。



「ねぇ?一緒に遊ぼ?」






いつの日かの神社の前……

トコトコ

「茜…一体どこ行っちゃったの、やっぱり…‥」

ザッザッ

『カーゴメカーゴメ…カーゴのナーカノ……』

「タスヶテ」


「茜?そんな訳ないか………」



「以上で語りを終わります。皆さんが知っていたカゴメとは違いましたか?

一つの子供の遊びでも場所時間ルールによっては一つの呪いとなるものです。

皆さんが身近にある遊びや子供達が無邪気に遊ぶ遊びどんなものでも必ず【ルール】はあります。

彼女の場合自分から破りに行ってしまった為ああなってしまったのでしょう。 

皆さんも気をつけてくださいね。

……気づいてないだけで近くに危険が迫っているかも知れませんね。

では、また会いましょう。」


ブッ

そして画面はまたいつものように暗くなった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る