7がつ 29にち 「さるすべり」

 七月二十九日 晴れ よいてんき


 さみしいです。こいびとがほしいです。繁殖しなければ、生物として存在意義を達成できません。茶々瀬に生きる資格がありません。あったこともありません。そのまえに友人のひとりくらいほしいです。話し相手がほしいです。ひとに聴かせるほどの話もないのですが。


 朝は、底抜けの快晴でした。真っ青な空でした。ずっと見ていられそうでした。


 喫茶店でぼーっと文章を考えていました。そしたら、突然、恋人ほしいなって思いました。恋人までならなくても、好きな人といっしょにどこかに出掛けたりしたいなって思いました。ぼーっと空想を膨らませました。ふっと現実に立ち戻り、茶々瀬にできるわけないなって気づいて、とてもさみしい気持ちになりました。できてたら、今の茶々瀬はいません。


 お仕事のとき、好きな人とニアミスしました。お喋りできませんでした。すごくしたかったけど、できませんでした。茶々瀬は意気地なしです。最近、ちゃんとお喋りできていません。どうやって話しかけていいのかもわかりません。


 帰り道にもずーっと、話しかけられなかったことを後悔していました。でも気づきました。話しかけたとして、きっと茶々瀬は緊張のあまりろくでもないこと言ってしまいます。それなら話さないほうがいいです。

 でも声が聴きたいです。


 サルスベリがあっちこっちで咲いています。きれいです。サルスベリのお花は、いろんな色があって楽しいです。あと、花の造りがふしぎです。へんな花弁でおもしろいです。


 ストレス脆弱性モデルに沿うならば、病的な徴候のない茶々瀬は、悩んでいるようで、苦しんでいるようで、全く余裕なのだろうなあと、よく考えます。


 おしまい。

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