7がつ 16にち 「あんぱん」

 七月十六日 雨 じとじと


 自分の気持ちを表出できる場所なんて、ないのだろうなあ、などと思う今日この頃です。どこにいたって、そこに適した自分を演じている自分と、それを冷たい目で見つめている自分がいて、上演が終わったあとで後者があれこれケチをつけてくるわけです。それで演者も臆病になって、やりたい演技を忘れてしまう。そんな感覚、ありませんか。


 今日は、楽器の練習の日でした。そう思ったらとっても気が重たかったです。なんにもする気が起きなかったです。だから、朝からぼーっとゲームをしたり動画を見たり、寝たり、お菓子食べたりして過ごしました。なんにもしたくありませんでした。起きているのもなんだか大変でした。


 ゲームは、敵が強かったです。何度も死にました。結局倒せなかったです。投げ出しました。


 楽器の練習は、必死でした。あんまり書きたくないからこれだけです。


 街中に行くと、みんな歩きスマホしています。緊急の用事とか、移動時間しか読む暇が取れない研究論文とか、そういうの見ているのかなって思いました。でも、動画とか、SNSとか見てました。現代人はひとと関わらないと死んでしまう病気です。かくいう茶々瀬も、こういう形で消極的にコミュニケーションを図ろうとしていますけど。


 楽器の練習を終わったとき、あんぱんを食べました。メンバーのひとりが焼いてきたそうです。あんぱん、とってもおいしかったです。そのひとは、お魚裁いたり、料理も色々やったり、すごいひとです。でもお仕事は研究職です。そしてトランペットが上手……。よくわからないひとです。


 茶々瀬も、楽器が上手になったらいいなあと思います。でもそれ以前に、もっと音楽に興味が湧いたらいいなあと思います。興味はありますけど。でも、やらなきゃやらないで別に寂しくない程度です。茶々瀬はそんなんばっかりです。


 ひとに合わせるのしんどいです。でも、だからって、自分があるわけじゃないから、ひとに合わせなかったら茶々瀬はマネキンみたいなもんです。いっそマネキンになりたいです。ぼろぼろのマネキンになって、ホラー映画とかに出演したいです。ホラー映画苦手だけど……。


 おやすみなさい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る