初恋の義姉さんの忘れ形見である三姉妹と共同生活をするようになった日々

ノボホポル

第一部 姪っ子三姉妹との新生活

第1話 嫉妬するほど自慢の兄と初恋の義姉

 オレには兄がいた。

 頭が良くて人付き合いが上手くて、周りから妬まれることがあっても、上手く解決して仲良くなっていく、そんな兄が。

 そんな兄が学生の頃、彼女ができた。

 当たり前だ。顔だって格好いい系で、アイドルにだってなれる容姿だったんだから、女には困らなかったはずだ。

 それでも兄が生涯付き合ったのは、たった一人だった。

 女性に対しても誠実で、全ての愛情をその人だけに注いでいた。

 兄が20歳に頃、付き合っていた彼女の妊娠が発覚した。

 有名な大学に通っていた兄は、迷うことなく自主退学して、社会に出ていった。

 内定をもらった会社もまた有名で、建築業界の大手も大手、スーパーゼネコンだった。

 まだ15歳で将来のことなんてぼんやりとしか考えていない、当時のオレですら知っているような会社だった。

 会社での兄の評価も上々で、大学中退のハンデをものともせずに、若手のエースとして出世の道を歩んで行った。

 そして兄は三人の娘を残して、この世を去った。


 オレには義姉さんがいた。

 尊敬できる兄が最初で最後に連れてきた、ロシア系のとびっきりの美女だった。

 シルバーブロンドを靡かせながら、初めて挨拶した時、オレは不覚にも心を奪われてしまった。

 初恋だった。

 しかし義姉さんは兄の恋人で、二人はいつ見ても本当に仲が良くて、他人が間に入れるような隙間なんてどこにもなかった。

 だから、もし別れることがあれば……そう思って、義姉さんが家に来た時は、精一杯もてなしてお近づきになったものだ。

 だが、そんな努力は無駄に終わった。

 義姉さんは大学生のうちに兄の子供を妊娠、そしてそのまま結婚してしまった。

 その後も二人子供を産んで、幸せな家庭を築いた。

 最初から最後まで、オレが入る余地なんてどこにもなかった。

 そんな義姉も兄と一緒にこの世を去った。

 最後まで一緒に――三人の可愛い娘たちを残して……。

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