第13話 真祐の思い
「同性だろうが異性だろうが
その言葉を投げかけた人物は真祐だった。
相手を怖い目つきで見れば、怒ったような口ぶりで言い放つ。
なぜここにいるかというと、きららにこの場所へ来るよう呼び出しを受けていたからだ。
彼女は彼の発言の意味が分からず戸惑うも、当初の目的であった自分の意志を伝える。
「で、でも!きららは真祐くんが好きで!」
「もう話すことはない、俺の前から失せろ」
「っ!そんな言い方酷いわ!」
だが虚しくも彼の心には響かず、冷ややかな態度を取られてしまう。
よほど結愛に対しての言葉が気に入らなかったのだろうか。
きららは悔しそうに唇を噛むと涙を滲ませながら、校舎の方へ駆けていった。
こんなにあっさりも振られてしまうとは予想していなかったかもしれない。
一人残された真祐は地面に落ちていたクッキーを拾うと、ふと結愛のことが思い出され頭をかく。
悩んだ末、とりあえず彼女の向かった方へ歩みを進めれば、大きな声で泣きじゃくる相手を見つけ思わず体育用具室の裏に隠れ様子を伺う。
気になるが、声をかけるのを悩んでいるのかその場を動く気配がない。
どうやら側には花凜がいて彼女を慰めてるようだ。
しばらくしても状況は変わらず、心配をして見に来たはいいものの、彼は完全に出るタイミングを失ってしまっていた。
ただこの場を離れようとはせず、なぜか無意識に結愛の作ったクッキーを食べながら2人を眺めていたのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます