小さな想いは夕焼けに散る

神崎郁

小さな想いは夕焼けに散る

 先輩への想いに気付いて早くも2年が過ぎた。未だお互いにからかいあったりはしてるけど何処かぎこちない。


 進展するに越したことはないけど、向こうからすれば全く意識していない一後輩に告白されても困惑するだけだろう。それだけであればまだいい。だけど先輩に拒絶されるのだけは絶対に避けたかった。


 先輩に彼女ができたらしい。当然といえば当然なのだろうが、彼女は息を飲んでしまう程に美しい容姿をしていた。その上人当たりも良いのだから非の打ち所がない。凄い先輩を持ったものだ。


 件の彼女が私に恋愛相談を持ちかけてきた。先輩との距離の詰め方が分からないとかどうとか。


 別れてしまえとでも言いたいところだが、先輩の幸せをわざわざこちらから壊すような真似は絶対にしたくない。


「先輩を傷つけたら、私が絶対に許さないから」


 私はそれだけ言って逃げるようにして去った。自分が大号泣してることにも気づいたけど構ってられない。先輩が見ていないことを祈るだけだ。

 

 廊下の窓から覗く夕焼けは、これまでの短い私の人生で1番美しいもののように思えた。

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