第18話 C級ダンジョンソロ攻略(1)

□香和さくら

「……………………はっ…」


え?あ、あれ?わたし、どうしたんでしたっけ…。たしか、初めてC級のダンジョンに連れこられて、レッサーオーガを倒すことが出来て……。で、そのあ、と…………


「あ、あぁぁあぁあ〜〜〜〜〜!!!!!ほ、ほんとに師匠居なくなってるぅううううぅ〜〜〜!?!?!?!?」


ちょ、え、どぅ、はぁあぁ!?え、おかしくないですか?おかしくないですか!?わ、わたし、今日このダンジョン潜るまでF級とかE急くらいしか潜ったことないんですよ!?そんな、急にC級を!ソロで!?え、師匠、うそですよね!?


「いや、うそじゃないんですけどね!?現にわたしは今1人っきりですし…。え、てことはほんとにし、C級ダンジョンをわたし1人で攻略しろと……?」


え、これはアレでしょうか。遠回しな死刑宣告でしょうか。それとも、これが世界1位の方に師事をあおぐということなのですか?もはや、スパルタなんて言葉で言い表していけないきがするのですが。それとも、何か深い意味があるのでしょうか?


「……………………。さっぱり分からないです!無理だよ〜〜〜!ここで死ぬてことですよね!?うそだぁぁあぁ。うわあぁあぁあ!やっぱ、詐欺られたんだ!?おかしいと思ったんですよぉ。逆にこれで詐欺じゃなかったら、あまりにもあんまりじゃないですか!普通、初弟子にこんなことしますか!?」


なんでしょうか。こう悲しみよりも、段々と怒りが込み上げてきました…。そうですよっ!なんで、こんな理不尽なことさせられなくちゃいけないのでしょうか!?しかも、ちょっと食料とかHP回復アイテムとか置かれてるのも腹立ちます!なんで、その気遣いできるのにわたしにC級ダンジョンソロ攻略理不尽を強いるんですか!?アレですか!?どーせ、一日では無理だよ、お前なんか笑笑笑てことですか!?いいーーですよ!そっちがその気ならやってやりますよ!ええ!


「こんなものに、ぜぇええええったいに頼ってやりません!!まあ、貰ったものを粗末には出来ないので捨てたりとかはしませんが」


必ず、必ず、あっと言わせてやります!


「goofooooo」「Kiyaaaa」「buruuuaaa」

「さっきから!うるさいです!」

「「「goaッ」」」


こっちはムカムカしているのに、ガンガンガンガン叩いてきて!まあ、こんなもんじゃもう動じないですけどね!なにせ、あのレッサーオーガをワンパンしましたから、ね─


「「「gua....?」」」

「──へ……?」


あ、あれれ?おかしいですね。確かに打撲跡であったり、ちょっと陥没したりはさせられましたが、たおせてません。


「え、えーーーと。これは……」

「GUOOOOOO!!!!!!」「KYUIRUAAA!!!!」「BUROOOOO!!!!!!!」

「い、いーやーーーーーー!」


わーーーー!わ、わーーーー!まずい、まずいですっ!すんごく怒ってますぅううぅう。ししししし、死にますうぅぅぅ。と、とり、とりあえず抵抗をしなければ!



「「「Ga....a..」」」

「はっ。はっ。はっ…。ふぅ、ふぅ……。な、なん、とか。た、たおせ、ました……」


ま、まさかアレから15分も掛かるとは……。やっぱレッサーオーガの時は奇跡だったんですね。ま、まあ?HPは削られてませんし?結局はわたしが勝ちましたので、これは完勝といっても過言ではないでしょう。


「あれ?でも、おかしいですね。アレだけ、ボコスカやられたはずなのに、ダメージ上限を超えているはずなのですが。HPは特に削られていませんでしたし…。どういう事でしょうか……?」


んーーーー?んーーーー。


「あっ。あーーーっ。そりゃ、そうですよ。わたし、レッサーオーガ倒せたんですからそりゃレベルも上がってますよね!」


なんか、あまりにも展開が早すぎて、こんな当たり前のことに全然気づけていませんでした。さっきも、3匹倒しましたし、一度わたしのステータスを見てみましょう!


「えとえと、デバイスは…。良かった。さっきのドタバタでどっかいってませんでした」


えーと、どれどれ。


────────────────────

香和さくら/kawa sakura

アカウント名 桜

職業 剛体の戦乙女

スキル 金色の羽衣、不壊の肉体、 全耐性

戦禍の盾[NEW]

加護 ???の加護


Lv.11[1230/1500]


SP《ステータスポイント》 60

HP《ヒットポイント》 22000/22000

MP《マジックポイント》 440/440


STR《物理攻撃力》 550

VIT《物理耐性》 1100

AGI《素早さ》 220

DEX《器用さ》 56

INT《魔法攻撃力》 165

MND《魔法耐性》 1100

LUK《幸運》 440

CHA《カリスマ》 250


─詳細説明─

【剛体の戦乙女】

戦場常在。敵から味方を守り続ける戦乙女の一人。特殊職業の一つ。転職不可。上級職不明。

取得条件:決して折れぬ覚悟と他者への献身


金色こんじきの羽衣】

戦闘時、常時発動パッシブ。味方のダメージの請け負い。ダメージの蓄積により、一撃の破壊力が上がる。

蓄積できるダメージ上限及び破壊力増加率は、Lv.依存。

Lv.11時点

ダメージ上限 3300

増加率 55%(被ダメージに依存)


【不壊の肉体】

戦闘時、常時発動。戦闘時間に応じて、VIT値、MND値の上昇。及び、被ダメージ減少。

上昇率、被ダメージ減少の値はLv.に依存。

Lv.11時点

上昇率 5%/分 (%はVIT、MNDに依存)


【全耐性】

常時発動。あらゆるものへの耐性。


【戦禍の盾】

能動発動アクティブ。敵から攻撃された時、30秒だけ全ての攻撃を肩代わりする。肩代わりされたダメージは、他スキルに影響しない。

また、対象者1名を選ぶことで、この効果を相手に付与することも可能である。


クールタイム:24時間

取得条件:10分以上、格上の相手からHPが削られずに戦い続けること。VIT、MNDが1000以上。レベルが15以下。


【???の加護】

???から受け取ったもの。決して折れぬ覚悟と他者への献身が呼び寄せた???の寵愛。

加護保有者の危機的状況における、全能力への大幅補正。状況下における感情の強さにより、補正値は最大100倍まで増加可能。


────────────────────


「え…………。うそ…………」


おかしい、ですね。ろ、6レベルも上がっているように見えるのですが。頬をつねってみます。


「い、いひゃい……」


てことは、ほ、ほんとに6も上がってるんですか!?3年間、コツコツやって、やっとこさ4レベル上げてたのに。ま、まだダンジョンに入ってから1時間も経ってないですよ!?


「は、はは…………。こんなにも……、こんなにも簡単な事だったんだ…………」


うれしい。もう、なんでしょう。さっきまで、イライラしてたり疲れてたりしてたのに、なんか全部ふっとんでしまいました。そう、なんですね。わたしが、少しだけ勇気を持ってC級に潜れば、こんな簡単にレベルを上げられてたんだ……


「………………」


はっ。いけないいけない。ショック受けるのも感慨に耽けるのも、今じゃないですよね!まずは、このダンジョンを攻略して、師匠を思いっきり驚かせてやりましょう!


「そ、それに。まだ一階層で、これだけレベルが上がったんです。次の階層はどれくらい上がるのでしょうか?それにそれに、攻略した後のわたしは、どれほど強くなれているのでしょう…」


えへへっ。どうしましょう、どうしましょう。今までのわたしからしたら、これからすることは自殺行為になるのかもしれません。なのに、こんな、こんなふわふわした気持ちになってしまっていていいのでしょうか?


「にへへ。終わったあとにりんちゃんに、わたしのステータスを見せたら驚きますよね。これで、迷惑をかけることも減るかもしれません」


わくわく、どきどき。ダンジョンに潜っている時に、こんな気持ちになったのはいつぶりでしょうか?この気持ちのまま、ドンドン潜っていきましょう!


「さあ!れっつごーーー!です!」

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