第9話 据え膳、喰うや、喰われるや

 ────このハニトラ爆乳JK……喰うべきか喰わざるべきか、それが問題だ


 僕に体をピタリとくっつけて座りうつむくキャシーを改めて観察した。


 明るい栗色の茶髪が三つ編みにされて腰上まで垂れている。

 白シャツの上にピンクのニットベストと赤いリボンタイという派手な制服。

 ミニのフリルスカートから伸びる魅力的な足には白い靴下とローファー。

 ベストの胸はこれでもかというほど盛り上がっていた。


 スタイルと服装を見れば、エロいコギャルといった風情だ。


 しかし、顔はその真逆と言って差しさわりない。

 眼鏡の下は自信なさげに伏し目がちで、茶色の瞳は下ばかりを見てる。

 小さな鼻の周りにはそばかすが目立ち、化粧っけの無い唇は無駄なおしゃべりはせずにむっつりと閉じられているのがデフォ。


 決してブスではないけど、不細工3歩手前といった地味な顔立ちですね。


 だがしかし、しかしですよ!


 その地味な顔が爆乳コギャルの体の上に乗っていると……

 メチャクチャ興奮してしまうんですよぉぉぉぉ。

 何ですかねこれは………いわゆるギャップ萌えなんでしょうか。

 エッチとか完全に無縁そうな顔なのに、くっそエロい体と服装をしてると、何故か股間にジャストミートなんですよ。まぁ僕だけもしれませんが。


 とにかく、セーラさんにもピクリと反応した愚息ですが、このキャシーにはフル勃起です。右手で抑えつけて隠してます。短小で助かりました…(泣)

 

 おっと、脳内で悶々としたりチンポを勃たせていると、返事をくれないのは拒否ということですねと勘違いしたキャシーが、自虐を始めちゃいました。


「……いいんです。私はブスでこんなに太ってるから、エロオさんがその気になれなくても仕方ないですよ。分かってるんです────」


 いや、ブスじゃないし、太ってるのはパイオツだけという理想形だから。

 その気MAXだから。ムッシュムラムラだから。


「────それに、私とセックスするのは泥沼にハマるようなものだし……」


 そう、そこなんですよ問題は。

 キャシーを抱いたら結婚させられて、沈みかけたこの村を救うという重荷を背負わされるのは目に見えてる。異世界スローライフがハードライフになる。


 それだけの価値がこの娘にあるのか………チラチラッ……バインボイ~ン…


 うん、ありますね、この爆乳には!


 痛いほど膨張してる愚息がそれを証明終了してます。

 そうと決まれば、ただちに口説きましょう。

 

「泥沼にハマっても構いませんよ。キャシーは可愛いですし、太ってなんかいません。とても魅力的な女の子だと思いますから」


 僕は、右手で強く爆乳JKの肩を抱き左手で太ももをソフトに撫でまわす。

 ハッと身を固くしたキャシーは頬をさらに紅潮させて息を荒げた。


「……気を使わなくていいんです………ハァ、ハァ……私のこと嫌いでも、目をつぶって子種だけくれたら…嬉しいです……ンンッ…」


「嘘じゃないですよ。ほら、キャシーのこと嫌いじゃなくて、好きだから、僕のがこんなに大きくなってるんです」


 キャシーの右手を掴んでスラックスごしに愚息へ押し当てる。

 ビクッと反応した彼女の手は、次第に自分の意志で肉棒をまさぐり始めた。

 僕も両手でキャシーの顔を引き寄せて軽く口づけをする。徐々に激しく唇と舌を貪り続けながら、左手を制服のミニスカの中へ伸ばしました。

 それから、キャシーの前にかがんで下着を脱がせ、舐めてあげたのですが……


「えっ、ウソウソ、待って! ムリムリ、こんなのダメッ!」


 キャシーは僕を押しのけてパンツを穿きなおし震えながら立ち尽くしている。

 えーい、何がウソでムリでダメなのだ。

 その気にさせておいて、おあずけなんて酷いじゃないかっ。


「初めてで怖くなちゃったのかな?」


「…………ブスとかデブとか罵って、乱暴に犯してくれたらよかったのに………エロオさんが優しくするから……好きなんて言うから……ごめんなさい!」


 あらら、キャシーが走って部屋から出て行っちゃいましたよ。  

 バルンバルン乳揺れさせながら。あぁ、逃がしたオッパイは大きかった。

 

 しかし、どういう謎理論なんですかねえ。


 自分のことを嫌いな男になら犯されてもよくて、好意を持ってくれる男には抱かれたくないなんて………ふつう逆じゃないですか?

 それとも、まさかのドMだったのか……いや、さすがにそれは無いな。

 じゃあ一体…………ハァ~、女心はサッパリ分からないですよ。


 やるせない思いにうつむいて溜息をついていると、ガタと扉が開く音がしてトレーを手にしたセーラさんが、この緑の間に入ってきた。

 うわ、もしかして、ずっとそこで覗いてたんですか……

 アラフォー疑惑の美魔女は、近づいてきてトレーをテーブルに置くと、銀のゴブレット二つに飲み物を注いでから、僕の隣に座った。


「無調法な娘で申し訳ありませんでしたわ。ここからは、大人同士で楽しく交遊しながら親交を深めましょう」


 いやいやいや、無調法なのはあなたの方ですって。

 何なんですか、そのけしからんスケスケなネグリジェは。

 娘がハニトラ失敗したから、今度は自分がってことですよね。


「さあ、ご賞味ください。領地で作らせているお酒ですのよ」


 へぇ、きっと果実酒だろうから、果樹園と酒蔵がありますよアピールですね。

 興味津々だったガラス細工(ビー玉やそれ以上のもの)とトレードしたいってところか。まぁともかく、その酒を試してみないと始まりませんね。

 僕は、銀のゴブレットに3センチほど注がれたお酒を飲んでみた。


 ────つ、強い! これってワインじゃなくて、ブランデー!?


 この人、僕を酔わせてどうするつもりなんだ………ゴクリ…

 酔いつぶれたところを裸に向いて既成事実を作る算段としか思えない。

 今日初めて会ったばかりの男にそこまでするなんて、この村の状態はキャシーから聞いた以上に滅亡待ったなしなのかもしれませんね。


 爆乳母娘との異世界ライフはもの凄く魅力的ですが、やはり良く考えた方がいいみたいですよ。少なくとも、この村の状況を自分の目で確認する前に、一時の情欲に負けて深みにハマるのはナシです。ナシ。


 僕が治癒や回復のスキルを持ってるのも黙ってるべきでしょう。

 それが知られたら、色仕掛けどころか実力で監禁されちゃうかも……

 

「あなたの決意はよく分かりました。ここは率直に腹を割って話しませんか」


「と、仰いますと?」


「あなたは僕に何を求めているのですか」


 商人らしい駆け引きもなく、ズバリ訊かれたセーラさんは、少しの間に脳内で様々な考えを巡らせた結果、僕の提案通りに探り合いは止めたようだ。


「貴方には、この町で店を構えて戴きたいのです」


「旅の行商人をやめて、この地に留まってほしいということですか」

「その通りですわ」

「僕に売ってほしい商品は、やはりガラス細工ですよね」

「ええ、あれほど見事な球体で異物の無い透き通ったガラス玉を惜しげもなく下さったのですから、もっと価値のあるガラス細工をお持ちなのでしょう?」

「はい、いくらでも仕入れることができます」

「まぁ!なんて素晴らしい。是非、この町で売って戴きたいですわ」


「望みはそれだけですか?」


「いえ、もう一つ。貴方には娘と結婚して当家と強固な絆を結んで戴きます」

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