猫耳姿の女性

「おーい。おーい」


 天の声が私を呼んでいる。目を開ける。また、場面が変わっていた。今度は森の中だ。


「もう、嫌だよ」


 ゆっくりと立ち上がる。目の前に、人の姿をした狼が、三体いた。


 あぐらをかいている。ゲラゲラ笑っている。その中に、女性らしい声も聞こえた。よく見ると、奥の方に、猫耳姿の女性もいた。あぐらをかいている。


 賑やかだ。私は近づいていった。トランプをしているのが見えた。


「すみませーん。お待たせしました」


「え、やるの?」


 狼の一人が、顔を上に向けて、話しかけている。


「はい、あの、ここは確認だけですので、すぐに終わります」


「……だとよ。ほいじゃ、いきますか」


「私の勝ちだからね。覚えとけよ」


 猫耳姿の女性が言った。他の三人は、笑っている。


「で、何をすればいいの?」


「じゃあ、モフモフちゃんを襲うシーンをお願いします」


「ねえ、モブだからってさ、扱いひどくない? いきなり呼び出してさ。勝手にそっちが物語追加して、それで、新たなバグを作ったんだろ」


「お願いしますよ。すぐに終わらせませすから」


 猫耳姿の女性は頭を掻きながら、大きな木の所へと向かった。


「叫ぶんだよね。じゃあ、いくよ」


 猫耳姿の女性は叫んだ。狼達は襲いかかり、服を引きちぎろうとしている。


 三回目の小さな画面。私は棒読みで言った。


「やめろ」


 人型の狼が、こちらを向く。口を大きく開ける。よだれが垂れている。吠えまくる。


 私の武器は竪琴。どうやって、戦うのだろう。


「ではすみません。その竪琴を持ったまま、右から左へと、斬るようにお願いします」


「えっ、斬る?」


「はい、斬ってください」


 私は言われた通り、右から左へと斬るどうさをした。横一直線、白い光が現れ、前に飛んでいく。

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