贈り物

女が言う

「これ、お返しとかいらないから」


そうして男に渡した細長い箱は丁寧な包装がされていて、白いリボンが付いている。


男は受け取りながら

「え、ありがとう…俺からもこれ、はい」


今度は男が小さな箱を女に渡す。

こちらも申し訳程度の包装と、赤いリボンが付いている。


さらに男は言う

「お返しとかそんなんじゃなくて、お前こういうの好きだよなって思って」


女は少しうつむきながら

「あ、ありがと…帰ったら見てみるね…」


二人の間に沈黙が流れるが、互いに箱の中身に思いを馳せているようだ。


いや、それぞれが喜ぶ顔を想像し、そちらを楽しみにしているようにも見える。


どちらからともなく

「じゃあ、帰ろっか」


そうして並ぶ二つの影が住宅街に紛れていく。

昨日までと同じように。

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