第38話
僕の封印術。
それによって完全に動きを止められたテレシア。
これは勝ちだと言ってもいいだろう。
「今、解除するね」
僕はアレナの身を封じている封印術を解除し、自由に動けるようにしてあげる。
「は、ははは……」
封印が解除され、自由に動けるようになったテレシアは引きつった笑い声を漏らす。
「凄いな……君は。まさかここまであっさりと完封負けするとは思わなかったよ……」
「ははは……ただの初見殺しだけどね」
ここまできれいに封印術が決まるのは初見だったから、と言っても良いだろう。
相手がまだ若いテレシアではなく、経験豊富な強者とかだと上手く嵌められない可能性の方が高い……というかほぼほぼ嵌められないだろう。
今回切った札は別に対して重要でもない札だ。
「そう……でもなんかいくらでも初見殺しを持っていそうな雰囲気を持っているけどね」
「まぁ、そうだね」
僕の持っている必勝パターンのほとんどが初見殺しによるものだ。
相手を初見殺しで倒すための手段はいくらでも持っている。
「ねぇ、もう一度やらない?」
「初見殺しを得意としている相手に再戦を望むとはひどい人だね。もう初見殺しの手札は切りたくないんだけどね」
「別に構わないわ。……ただ私が勝つだけだもの」
「僕が一方的に公爵令嬢を相手に勝って終わるのも大分問題があるしね。付き合って上げるよ」
僕は異空間収納から大量の武器を取り出し、地面へと乱雑に並べていく。
「……初見殺しのトラップにしか見えないのだけど……」
「ははは。そんなことしないよ。ここで君を殺す相手でもない君に大切な初見殺しの手札を見せたりしないよ。さっきのはそこまで重要度の高い物じゃなかったから見せただけだよ」
「その重要度の低い手札にまんまんとしてやられたのは悔しいのだけど……まぁ、良いわ。今、ここで汚名を晴らすだけ。初見殺しでないと言うその言葉を信じるわッ!」
テレシアはバカ正直に僕へと突撃を敢行してくる。
初見殺しのトラップを発動して叩き潰してあげてもいいけど……ここで勝つ理由は特に無いかな。
「ん」
僕は普通に正攻法でテレシアを迎え撃った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます