【序】名も知らぬ貴婦人に飼われて童貞を捧げるまで🍒
第1話 転生したら奴隷市場の売りものだった。
俺は死んでしまったのか?
暗い闇の底に沈んでいく。どんどん意識が遠のいていく。記憶も薄れていく。
俺は誰なんだっけ?
生きてる間、一度だけでも綺麗な人と好いことしたかったな……。
ふと気が付くと、強い日差しが目を刺した。目が痛い。体中がスース―する。ここは地獄なのか。地獄って、薄暗い所だと思っていた。肩が重くて体が自由に動かない。頸枷に両手を固定させられている。素っ裸で冷たい石の上に跪かされている。
「面を上げなさい」
鈴が鳴るような声がした。なんだか甘い好い匂いがする。
「奥様、この奴隷はぶよぶよ太っていて顔も豚みたいでござましょう。非力で愚鈍で不細工と来ております。買い手のつかない余り物でございます。健康で病気が無い所だけが取り柄でございます。もし引き取っていただけるなら、勉強させていただきますが、如何でしょうか?」
「お幾らかしら?」
「豚十頭分の値段で如何でしょうか?」
「とうことは銀貨一〇〇枚ですわね。随分とお安いですわ」
「奥様、銀貨一〇〇枚で手を打ちましょう」
「わかりました。直ぐに契約の儀式を執り行っても宜しいかしら?」
「どうぞどうぞ、儀式の間にご案内させていただきます」
俺は奴隷に生まれ変わったんだ。地獄よりはましかもしれないな。しかし、ぶよぶよ太ってて豚顔って、多分前世のままじゃないか?
取りあえず、重苦しい頸枷からは解放された。柔らかい指が首に触れた。恐らく「奥様」の指か?
革の首輪を付けられたみたいだ。「奥様」はどんな人だろう?
だんだんと少しづつ目が慣れて来た。
ドレスを着た女の人の輪郭が浮かび上がる。すらりとした人だ。飼い主様は綺麗な人に違いない。
未だ目が好く見えぬまま、別の部屋に連れていかれた。「奥様」と二人きりになった。
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