第11話 登校、からの…… その1
翌朝。
いつもどおり5時の目覚ましが鳴ったものの、おなかのあたりが妙に重く、起き上がることができない。
と、誰かが手を伸ばし、目覚ましのスイッチを切ったではないか!
まさか誰か侵入者でもいるのか?、と気を引き締めたところで。
「律希、おはよ」
お腹の上から妙に聞き慣れた声が聞こえた。
その正体はというと。
「楓、おはよう。朝早くから一体何してるんだい?」
「あ、バレちゃったか。いや〜、律希のこと起こそうと思ったんだけどなかなか起きないんだもん、目覚ましが鳴っちゃったよ」
「いや、別に俺目覚ましで起きれるし起こしに来なくても良いんだけど?そもそもしずく姉とか莉乃姐さんと揉めてない?」
「そっちは大丈夫。じゃなかったら来れるわけ無いでしょ?」
「それもそっか。朝からご苦労さん、楓」
「ふふっ。どういたしまして、律希」
そのまま2人でハグをする。
と、そこに。
「律希くんも楓ちゃんも朝ごはんできたぞ、って2人共なにしてんだ!楓だけずるいぞ、私にもやらせろ!」
朝ごはんができたのを知らせに来てくれたらしい莉乃姐さんに見つかり、案の定言い合いが始まるのだった。
結局。
「やばいやばい、このままじゃ遅刻しちゃうよ!」
「だから早く静まれってアレほど言ったのに、しずく姉まで参戦しちゃうんだから」
騒ぎを聞きつけ上がってきたしずくが乱入し、3人の戦いが幕を開けてしまった。
落ち着く頃にはすでに時間はギリギリ。
せっかく作ってくれた朝ごはんも急いでかきこみ、慌てて靴を履いて、ドアを蹴破る勢いで飛び出し学校へ向け全力疾走。
結局いつもより遅い電車になった。
確かに原因は俺にもあるが、だからといって別にハグしてたくらいでとやかく言われる筋合いはない。
そんなこと言ったらアメリカとかの人たちからしたら普通のスキンシップすら咎められているようなものだ。
それに朝は元からそんなに時間に余裕がない。
のんきに朝からきゃあきゃあ喧嘩してる暇なんてないのだ。
電車から降りたあともしばらく走り続け、ようやく時間になんとか余裕が出来。
「そろそろ走らなくても大丈夫だと思うけど……大丈夫?」
ろくに準備運動もせず、制服(ブレザーにスカート)という格好で必死に走り続けたせいか、皆揃ってゼェハァ言っており、まともに会話することすら出来ない。
「はぁ、ふぅ、ようやく喋れるぞ。まったく、朝から荷物持って走るとか地獄のようにきついな、コレは」
「ホントですね。まあこうなったのはどっかの誰かさんのせいですけどね」
「全く、誰よ、そんな真似したのは」
また3人で話に盛り上がり始める中。
その後ろから高速で近づいてくる影が。
その全容が見えてくるにつれ、俺は恐怖を覚えて慌てて叫ぶ。
「楓!うしろ!トラック来てる、早く端っこ寄って!」
「えっ?あっ……」
楓はさすがの反射神経ですぐに気づいたものの、そこで恐怖に足がすくんでしまった。
このままでは楓が轢かれてしまうと思った俺は荷物を投げ捨てて駆け寄ると。
「間に、合えーー!」
楓を端っこに向けて突き飛ばし。
次の瞬間。
ドゴォ!
激しい衝撃とともに意識が暗転した。
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ここまで予定通りです。
車道は危険です、皆さん気をつけましょう。
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