第5話 性癖を職業にしたかもしれない話


 乳がん……それは女性に取って、とても残酷で辛い病気、症状なのかもしれません。

 男の僕には、女性の大事な身体の一部を、切除するかもしれないと思うと、胸が痛みます。


 パートナーである奥さんのことを心配して、割と若い頃から、定期的に乳がん検診を受けるように、提案していました。

 僕たち夫婦が選んだ病院は、名医と呼ばれる医師の方がいまして。

 奥さんはマンモグラフィーなどの検査をえて、最後にその名医に触診をされ、結果は問題なしとのこと。


 僕たち夫婦は安堵しました。

 信頼できる名医だと思います。


 しかし、その話を妻の母に話すと、

「え、あの先生に診てもらったの?」

 と絶句されました。


 理由を尋ねると。

「自分のお友達の旦那さんが、その名医といとこで昔から仲良くしていた」

「いとこの人曰く、幼い頃からものすごく性欲が強い」

「裏ビデオを収集するのが趣味で、たくさん持っている。同じ医者の一族だけど、毎回見せてくるのがおっぱいものばかり」

「会うたびに『ヘヘヘ、新作見てくぅ?』とすすめてくる」

「いとことはいえ、乳がんセンターに志望したのは、ひょっとして……」

 という裏情報を聞かされました。


 そのいとこも医師らしいですが、自分の奥さんには「あいつには診てもらうな」と注意されたそうな。


 僕はそんなことを聞いたら、恐怖を覚え、妻に「触診の際、変なことはなかったか?」と恐る恐る尋ねます。

「全然ないよ。すぐに終わった」

 と答えてもらったので、少し安心しました。

 奥さんは笑ってこう言います。

「多分、あれじゃない? 好みのおっぱいじゃなかったんだよ」

「……」


 妻は腕は確かだと言い、定期的に検診させてもらっております。

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