第17話 父も無事

父も無事


但しこれを何処へ置いておくかが問題、先ほどのおうちに頼んで預かってもらうかそれとも…

やはり壊れた家に放置は考えられず、とりあえず2箱に着るものを詰めて残る2箱にはフィギュアを詰める事にした、一応中身が分からないように工夫したが。


【そうすけさまお父上です】

【まず!リリーストップ】


俺はとっさにリリーへ駆け寄り抱き上げる。


「宗助!」

「父さん」


どうやら仕事場から駆けつけたらしい、だがこの惨状を見て父は呆然としている。


「母さんと愛菜は!」

「無事だよ、今小学校に避難しているから」

「そうか、無事か良かった」


父は今日会社の展示会で新橋まで行っていたが、どうやら途中でプレゼンと展示会&フォーラム自体が無くなったらしい。

TVが無いのでこの場では他の地域がどうなっているのかは分からないが、あの宇宙船が襲ったのが東京だけとは限らない。


【リリーあの宇宙船はこの地区だけに飛来したのか?】

【いいえ、地球上の至る所に飛来した模様です】

【え?じゃあまだまずいじゃん】

【大丈夫ですハッキングしたときに全部の船を設定変更しました】

【おし!でかした、ところでどのくらい?】

【あのタイプの宇宙船が400機ほどです】

【400機!】

【全て同じ設定で書き換えました、帰還すればインベーダーは大きな被害を被るでしょう】


一機だけとは考えていなかったが、まさか400機とは思わなかった。

地味に俺ってヒーローみたいな…

だが表立ってそれを公表するわけにもいかないし、このスキルでさえどんな影響があるのかすらまだ未知数なのだから。


「どうした黙り込んで」

「ああとうさん今日のフォーラムは?」

「この騒ぎで全部無くなってしまったよ、みんな自分の家族が心配だからね」


今日は研究している技術に関わる会社のプレゼンがあるはずだった、数十という技術開発チームの研究成果を発表する日。

海外や国内からも研究者が沢山来て、今後出てくる可能性の高いエネルギー関連の新製品、そのお披露目があるはずだった、展示会とフォーラム自体は昨日から始まっているのだが最新技術のお披露目とそのプレゼンが今日の予定だったのだ。


「せっかく目玉商品のお披露目だったんだがな」

「それは残念」

「それよりも我が家が…」

「あ~ショックだよね」

「宗助はなんとも思わないのか?」

「僕だって悲しいよ、でも今は生きているだけでも喜ばないと」

「確かにそうだな」


「う~ん、早急に住むところを探さないと」

「とりあえず着替えと荷物を持って避難所に行こうよ」

「ああそうするか」

「お、フィギュアは無事だったのか」

「何とかね」


父が声をかけたときにはすでにリリーは俺の肩に乗っている状態、ちょうど肩車している感じだが、そのいで立ちはちょっと見かなり引かれるかもしれない、だがそんな事かまってはいられない。

持ち出さなければ誰かに持ち去られてしまう事もある得る。

それにこのリリーはロボ化しているのだから。


「おい宗助、重くないのか?」

「何が?」


肩にリリーを乗せ衣装ボックス2つを抱えて小学校への道を父と二人歩いていく、父にも衣装ケース2個を持ってもらっているが。

俺の肩には5kのリリーが乗っているので確かに重さは父より重いはず。


「しかしよく無事だったな」

「たまたま隙間があって潰れなかったようだよ」

「家は仕方ないがせっかく恥ずかしい思いをして受け取りに言ったんだから、無事でよかったよ」

「だよね」

「だが住む場所はどうするか考えないとだな」


呂方家の祖先は東京の田舎の農家、父の田舎は八王子のめじろ台にある。

そこに実家が有り今は祖母と父の兄家族が住んでいる、そこは2世帯住宅ではなく家は別々な為、祖母の家にお邪魔する事は頼めば可能だろう。

但し父の仕事場からは遠くなる為、よく考えて住む場所を確保しなければならない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る