第21話

  その頃、私の通っていた大学では、学生たちの間で『七不思議』というものが流行っておりました。

『一つ目は理科室にある人体模型』

これは私が聞いた話なのですが、ある時、授業中に貧血を起こした学生がいたそうです。その生徒はすぐに保健室に運ばれたそうですが、なかなか戻らないということで、様子を見に行った教師が発見し、事なきを得たとのことです。

この話を聞いた時、私は妙に納得してしまったものです。というのもその生徒は、なぜかよく体調が悪くなることが多かったからです。

『二つ目の体育倉庫には、夜になると血まみれの女が現れる』

これは私が実際に体験したことではありません。大学の友人から聞いた話です。なんでも大学の体育館裏に古い体育倉庫があり、そこに深夜忍び込むと、中が真っ暗で何も見えないらしいのです。

ところが突然扉が開き、そこから女の人が飛び出してくるというのです。しかも女は裸で、手には刃物のようなものを持っているという話でした。

それを聞いたとき、私はなんだか怖くなってきました。

『三つめの音楽室のピアノは夜にだけ鳴り出す』

これも友人の話でした。ある生徒が真夜中、音楽室で練習をしていると、突然どこからともかく音が聞こえてきたそうです。それはまるで、ショパンの「別れの曲」のような曲でした。そしてその曲は、いつまでもいつまでも続いていたそうです。

『四つめはプールの飛び込み台の下には死体が埋まっている』

これは私の友達の体験談です。何でも、水泳部の練習中に、飛び込み台の上から落ちた部員がいるそうなのです。幸い怪我は大したことがなかったのですが、それ以来、その部員は高所恐怖症になってしまったとか。

『五つ目、六つ目はトイレの花子さん』

これは私の高校にあった話です。女子トイレには花子さんと呼ばれる女の子の霊がいて、誰もいないはずの個室の中から声が聞こえるそうです。そして放課後の校舎を歩き回り、意味不明な言葉を発し続けているとか。

私も一度、部活帰りに、学校の廊下を歩いている時に、背後に人の気配を感じたことがありました。でも振り返ってもそこには誰もいなかったのです。私は背筋が凍るような思いをしました。

『七つ目……これが一番の恐怖かも……』

これは私の兄が語ってくれたことです。

兄の学校では、夕方頃になると、必ずと言っていいほど、校内放送が流れるのだと言います。その内容は、

「……今日はお客さんがたくさん来ていますよ。みんなで一緒に遊びましょうね」

という感じで、その放送が終わると同時に、校門の方から大勢の子供たちの声が響いてきて、その日はもう二度と帰ってこなかったということです。

(以上、私の知っているものだけでしたが、他にもまだまだたくさんの不思議な話があります。みなさんもぜひ調べてみてください)

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