近郊の森6


 クレイグの剣は正確にギルマスの胴体を狙っている。

 私がよくみる大振りの力任せの剣じゃない。

 踏み込みも鋭く、剣の突き込みも分からない速さ。

 これが対人戦闘・・と、思う間もなく決着が着いてしまった。

 

 クレイグが気合の声と共に突き込んだ剣はギルマスの胴体に命中しなかった。

 何をしたのか私にはさっぱり分からない。

 結果として、ギルマスの胴体はかすり傷一つ無く、クレイグの剣はギルマスが持っている。

 元の持ち主であるクレイグは倒れていた。ちょっと距離があるからはっきりとは分からないけど白目むいて気絶しているようだ。

 

 ギルマスの圧勝だ。

 クレイグの剣を軽く振りながら剣の具合を確かめる姿には、さっきまでのフラフラとした酔っ払いの様子は微塵も無い。

 

 ナニコレ。

 

 強いじゃん。

 

 エイミーが言っていた剣聖の一番弟子に間違いは無いと思ってしまう。

 

 

 と、思っていたんですけど。

 

 もって数分のようですな。

 

 既にヘロヘロになってます。

 剣も重たそうだ。

 

 ・・・まあ。

 クレイグを制圧できたからいいのかしら?


 あ、エイミーはいつの間にかクレイグを拘束している。

 素早い。

 ギルマスと何か話している。

 

 私も事情を確認しないと。

 何せ狙われているのが何故か私なのだ。

 

 当事者を差し置いて話をするのはどうかと思うのですけど。

 


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