君の笑顔と敗北の記憶
いわゆる人狼ゲームをベースにつくったお話です。
この話では、
•外で狼が出てから外出禁止の寮で、狼が出た。
•それから毎日、寮生の中から狼探し。毎日一人、外へ追放される。
という設定になっています。
―――――――――――
寮で狼が出てから長かった。
朝になれば見つからないことを祈りながら死体探し。
昼には狼を見つけるための話し合い。
夕方までに狼と思われる人間を寮の外へ追放。
そんな狂った生活が長引いて、ついに二人きりになってしまったな。
まあ、学年首位を争う私たちが力を合わせて人間であることを証明しつづけたのだから、当然の結果か。
先ほど追放した彼が狼であったことを祈ろう。
今日が最後の晩だ。
ありがとう。
ここにきて気付いたと思うが、実は私が狼なんだ。
君のおかげで私は、狂気に満ちたこの寮で生き延びることができた。
ははっ、必死に庇い続けてきた人間が狼で、どんな気持ちか聞かせてくれよ。
なぜ笑っているんだ。
普段、仏頂面の君がこんな場面で破顔するな。
悔しさを押し殺して俯く君を、私は想定していたのに。
君は私が狼だと知っていたんだな。
殺されることも覚悟の上で、あの立ち回りか。
この変態め。
ああ、くそ、君が唯一"世間に汚染された愚か者"でないことを、もっと警戒すべきだった。
人の体での最後の記憶が敗北の記憶になるとはね。
嫌いだ、君が。
この小さな世界で唯一、私の理解者になり得た君が、大嫌いだ。
望み通り殺してやる。神の器である私の餌になれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。