【小ネタ】ついったー再録詰め。9
「……何か申し開きは?」
「真顔だけどありありと怒ってますオーラ出てるのマジこわい。言い訳はしません、私が軽率でした!」
「自分の所業を素直に認められるカノジョサマで俺は嬉しいです。もうちょっと理性を持ってくれてたらもっと嬉しかったけどな」
「だ、だって推しガチャだよ? しかも2大推しが揃ってるんだよ? これを回すなっていうのは無理でしょ??」
「誰も回すなとは言ってない。こう言うと自分の運を過信しているようでどうかと思うが、俺が代わりに引けばもうちょっと被害は抑えられただろって話をしてる」
「だって実装から君に会えるまで2日もあったんだもん……」
「ガチャ実装は午後3時で次の次の日まで会えなかったからな。つっても特攻のイベントは次の日開始なんだから実質1日だとは思って待てなかったのか」
「待てなかったですね!」
「いっそ清々しいイイお返事だ。まあな、俺だって推しが複数揃ってたら理性はぶっとぶかもだけどな? でもあんた、中途半端に理性残ってただろ。一通り回してから月が変わるまで1日待ったろ」
「なぜそれを」
「あんたがTwitterでガチャ実況してたからだ。っつーかそれがあったからあんたがガチャ爆死――まあ最終的に目当てを引いてんだから正確には爆死じゃないが――したのを知ったんだし」
「自ら墓穴を掘ってしまっていた……。最初は私もね、とりあえず今最大限許せるだけ課金して、それでも出なかったら月変わってから新たに課金してちょっと回して、それでも出なかったら君に引いてもらおうと思ってたんだよ? ただこう、推しの白タキシード姿を……見たら……。こちらに向いたあの笑顔を見たら……もう君に頼むとかふっとんで……。『今! ほしい!!! 今!! お迎えしたい!!!!』ってなって……」
「なまじ一度間を開けただけに爆発したのか……」
「そうかも……」
「いやな、本来はあんたがあんたの金でやる課金だし、俺が口出すのもどうかとは思うんだ。自力で引きたいときもそりゃあるよな。ただ、――あんた、バイトやるって?」
「う、うん。兄さんの知り合いの事務所で……」
「その事務所はどういう事務所だって?」
「『まあなんでも屋みたいな~? 持ち込まれたらなんでもやる事務所だよ~』ってその知り合いさんは言ってた」
「……そうか、そこまで承知の上で飛び込んだなら俺は何も言うまい」
「うっ……背に腹は代えられなくて……いつもの兄さんのお手伝いはしばらくないし」
「そうなんだよな、バイトがいつものそれなら俺も何にも心配しなかったんだが。……だってそのバイト、もうなんかあからさまにフラグすぎるだろ」
「い、言わないで! 直面するまで私は平穏無事にバイト期間を過ごせるものだと信じてるので!」
「まあ信じるのは自由だけど。依頼人的立場以外じゃ部外者は入れない感じなんだろ? 何があってもフォローできないから、そこがな……」
「……もしかしてさっき怒ってたの、フォローがきかない場所に私が行くことへの心配の裏返し、とか」
「……。そーいうのは、思っても言わないもんだろ。お互いの気恥ずかしさ的に」
「いや……いくら偽装恋人で共犯者だからってそこまで気を配ってくれなくてもいいんだよ? というかそういうふうに気を回すから世界の強制力と相まって君は女の子に気を持たせてしまうのでは」
「言っとくけど誰彼かまわずここまで気に掛けるわけじゃないからな。唯一っぽい同士のあんたがこの世界の強制力に負けたらぼっちで抗うのがいやだからだぞ」
「だめだよ、君言葉を連ねれば連ねるほどツンデレ的口説き文句っぽくなってるよ……」
「……。それはそれとして今後の懸案にしておくとして、当面はあんたの避けられなさそうな新たな出会いとイベントだろ。どうするんだ」
「ひとまず兄を隠れ蓑に、というか行き過ぎ気味のシスコンをいかんなく発揮して牽制じみたことしてもらって、尚且つかっちり期限決めた短期バイトにしたので、それでどうにか……はならないだろうけど。あとはもう無難に過ごすだけだよ……いつも通りだよ……いつも通りということはどういう対応とろうが相手方は勝手に判断するのだから投げるってことです」
「日常に溢れるフラグに荒みすぎだろあんた。……まあ、健闘と無事を祈ってる。助けが必要な時は呼ぶように」
「君を呼ぶと君にも新たなフラグが立ちそうだからできるだけ避けるけど、どうにもこうにもならなくなったら頼らせてもらいます、カレシサマ」
+ + + + + +
もはやこの二人はソシャゲネタでぐだっと話す二人になってるのでは?と思いつつ。
課金自体にはそこまで怒ってないけど、相談なく金策のために危険度の高い(フラグ的な意味で)バイトをすることを決めたのにはちょっぴり怒ってた彼でした。
ちなみに彼が彼女がバイト始めるとかそのバイト先とかの情報を仕入れた先はふつうにお助けキャラです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます