ぼくのうた

めぐらい

　　一、

この世（よ）に生（い）きとし 生（い）けるものはすべて

いのちの有（あ）る限（かぎ）り いずれかは果（は）てる

　　二、

この世（よ）に在（あ）りとし 在（あ）れるものはすべて

かたちの有（あ）る限（かぎ）り いずれかは朽（く）ちる

　　三、

その手（て）悴（かじか）ませ 作（つく）った雪（ゆき）だるま

明（あ）くる日（ひ）融（と）け汚（よご）れ 情（なさ）けない姿（すがた）

　　四、

涙（なみだ）し築（きず）いた 甲（かぶと）虫（むし）の墓（ぼ）標（ひょう）

冬（ふゆ）が来（く）ると共（とも）に 消（き）え忘（わす）れ去（さ）った

　　五、

躄（ざり）蟹（がに）捕（とら）えに 通（かよ）い詰（つ）めた蓮（はす）田（だ）

砂（じゃ）利（り）で埋（う）め立（た）てられ 今（いま）は大（おお）通（どお）り

　　六、

幼（よう）少（しょう）のみぎり 明（あ）け暮（く）れた学（まな）び舎（や）

子（こ）らの数（かず）は窄（すぼ）み その姿（すがた）見（み）えず

　　七、

美（うつく）しい棚（たな）田（だ） 恵（めぐ）みの土（つち）と水（みず）

地（ち）の揺（ゆ）れと猛（もう）雨（う）に 虚（むな）しく崩（くず）れた

　　八、

大（だい）事（じ）にしていた 形（かた）見（み）の羅（ら）紗（しゃ）鋏（ばさみ）

直（なお）し手（て）が途（と）絶（だ）えて 埖（ごみ）に成（な）り果（は）てた

　　九、

元（げん）気（き）が取（と）り柄（え）の 叔母（おば）が突（とつ）然（ぜん）逝（ゆ）き

ひどく嘆（なげ）き泣（な）いた 叔父（おぢ）も身（み）罷（まか）った

　　十、

母（はは）生（う）まれし家（いえ） 満（み）ち溢（あふ）る想（おも）い出（で）

そこに今（いま）生（お）いるは 萱（かや）と杉（すぎ）菜（な）だけ

　　十一、

かたちの有（あ）るもの いつかは朽（く）ちるのに

何（な）故（ぜ）人（ひと）は再（ふたた）び ものを作（つく）り出（だ）す

　　十二、

いのちの有（あ）るもの いつかは果（は）てるのに

何（な）故（ぜ）人（ひと）は再（ふたた）び 世（よ）に生（う）まれ落（お）ちる

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🎦 https://youtu.be/lihTyn4d2Ew