ハリガネ・パラダイス

がみがみ@元・桐生深夜

本編

 ハリガネは実に素晴らしい!そう思わないかい!思うよね!うん!そうだよね!


 みんなハリガネが大好きだ!


 君もそうだろ!ハリガネが大好きだろう!


 ハリガネ!ハリガネ!ハリガネ・パラダイス!


「って思ってみたけど、僕はハリガネが好きになれないんだよね……」


 この世界に、あらゆる場所にハリガネが溢れている。けど、僕はハリガネが嫌いだ。嫌いで嫌いで仕方がない。


 なんと言ってもその見た目だ。とても細くて丈夫なのに、ふにゃふにゃと形が変わる。食感はぶちぶちとしているし、味は酸味がある。色々なところでハリガネを使うこの世界の人たちの気がしれない。


 この世界の人たちはハリガネをよく使う。子供が作るような小さな工作から高層ビルのような巨大な建物。オリーブオイルと野菜で炒めて食べてたり、稀に生が美味いと言ってぶちぶちと食べてる人も見かける。また、人と人の心をつなげる道具にする人や加工して宝石のようにしてる人もいる。


 気持ち悪い。

 気持ち悪い。

 気持ち悪い。

 気持ち悪い。

 気持ち悪い。


 なんでみんなはハリガネを好きになる?僕は好きにはなれない。なんて言われようと好きにはなれない。


 ハリガネを好きじゃない人は、よくいじめられる。僕もよくいじめられた。

 ハリガネで叩かれて、ハリガネで縛られて、ハリガネで撮られて、ハリガネで遊ばれる。実に最高ないじめだ。


 ――ああ、いっそのことハリガネが要らない世界に生まれたかった。


 ハリガネ!ハリガネ!ハリガネ・パラダイス!


 そして今日も食卓には、ハリガネが並ぶ。

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