あなたたちは一体……?!2
「あ、あのさ……」
「う、うん……」
ちょうどいいタイミングで、鳥のさえずりが辺りに響いて音楽を作り出す。
彼の顔がより赤くなってきて、それはもちろん私にも伝染して、鏡で確認していないのに赤くなっているって分かるのは、顔があり得ないほどに熱いから。
吹いてきた風が、顔の熱を下げてくれる。
「その……俺、さ、お前のこと……」
お前のこと、に続く言葉は一つしかない……はず!
「お前のこと……」
彼の言葉から発せられようとしている2文字が頭の中を埋め尽くして、彼が「好き」だと言う前に「はい」と返事をしてしまいそうになる。
ぐっと喉に力を入れて彼の言葉を聞こうとしたのに、だんだんと目の前が歪んできて彼の姿が見えなくなって
「こ、告白は!?」
と声を出したとき、天井が目の前に現れた。
「ゆ、夢……?」
上半身を起こそうとしたとき、視界に5つの顔が突如入ってきた。
「おまえさ、起きるの遅すぎ」
「昨日は疲れていたのですか?」
「おはよー!」
「……」
「よっ! 今日も朝から眩しいな!」
今まで会ったこともないし、多分どこかですれ違ったりもしていないはずの人が……いや、イケメンが何故が私の部屋にいる。
って、ちょっと待って。
なにかものすごい違和感をさっきから感じると思ったら、部屋がいつもの部屋じゃない。
倍以上は広くて、布団だっていつもの固い布団じゃなくてふわっふわの柔らかい、いつまでもそれに包まれていたくなるような布団。
花なんてものも飾ってあって、しかもよく見てみるとそれは多分造花じゃなく生花。
「えっと……その……」
何かを発しようとしたとき、部屋の扉が開いて知らない女の子、と言っても中学生くらいの人形みたいな白い肌でくりんとした目が特徴の、ふわふわの髪をした人が入ってきた。
「お姉ちゃん、もう学校始まっちゃうよ」
「お、お姉ちゃん……?」
私は確か今まで『妹』だったはずで、二つ上のお兄ちゃんがいて、妹というポジションの甘い蜜を吸って十数年過ごしてきたはずなんだけれど……。
それよりも気になったのは、私の妹だという人が部屋に入って来た瞬間の、イケメン5人の表情の変化。
明らかに好きな人が目の前に現れたときのそれで、瞬時に察した。
この5人は、この人が好きなんだ、と。
「って、そうよね。てっきりゲームみたいに全員私のことを好きなのかと……」
「メイ? なにぶつぶつ言ってるの?」
さっきから私に話し掛けてるのは黄色がかった髪をした人で、「ああ、うん」と返事をすると、にこっと、泣き叫ぶ子どもでさえ泣き止んでしまいそうな爽やかすぎる笑顔を見せてきた。
「わあ、皆さん、おはようございます。お姉ちゃんのこと迎えに来てくれたんですか…?」
「べ、べつにそんなことねえけど……」
赤みがかった髪のやつは分かり易いくらい顔を赤くしている。
「まあ……メイは寝坊が多いですから」
青みがかった髪のやつが言う。
「……僕はついてきただけ」
と、緑がかった髪のやつはいかにも眠そうに声を出す。
「おう! 遅刻したら大変だしな!」
と、水色がかったやつは朝から向日葵のような活発さを見せた。
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