日々の有る事無い事を

クイーカ

Blur ocean

イルカが口ずさむ流行歌

透明無垢な水の中

岩礁のわずかな高低差がメジャーナインスを撚り合わせ

音符が弾けて生じる気泡に幾千匹の魚が飛び込む

一幕の陽光が水温と混ざり合って

ほの白いカーテンが生態系を覆った


ここはどこよりもきれいで

誰にも見つかってはいけない場所

のしかかる白昼夢の届かない場所

生まれたままの瞳では

ぼやけた視界しか知らないから

彼らはその美しさに気付けない


40℃の検閲が肌を焼く

止まない光が全てを照らす地上は

どこをとっても識別可能で

見えないものは嘘です

見えないことは欠落です

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この水中にて

たった一人が見ることができる

たった一人が書き起こせる

この優越に腰かけてログを

いつまでも

でも

では


見えない彼らはなぜかくも幸せそうなのか


眼前に広がる光景に

報酬

期待

捨てて

たゆたう


見えてる間もわからなかった問題を


ぐるりと頭を下に向け

岩を蹴り深く潜る

ひび割れはじめたゴーグル

間もなく何も見えなくなるけど

見えないものを見てみたくなって

唇をゆがめ

このまま深く

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