傘
午後7時、地下鉄の出口に見えた空は雨
先を歩く人たちはみな傘をさして地上に出ていく
目を閉じた私は傘をささずに地上に出ていく
一歩踏み出した
体を水が滑る
つかれもいっしょに滑りおちた
暖かい雨のコートに包まれた気持ちになった
天を仰ぎ見た
顔を水が跳ねる
苦しさもいっしょに跳ねおちた
頭を撫でられた気持ちになった
自転車に乗った
絶え間なく水が流れていく
恥ずかしさもいっしょに流れていった
大きな声で歌って帰った
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