あの日の世界

三角

第1話 私と先輩

ドカンッ!ズドン!


外で爆発音が聞こえる。

あぁ、今日はこう言う日か…


月曜日である事の憂鬱を越えるような、言うなれば…呆れ?が私を襲った。


私の住んでいる世界はいつもどこかおかしい。


今日であれば外で爆発が起きている事。

この謎だらけの現象は毎日のように切り替わり私達を悩ませている。


今日だって、本当だったらあと30分は寝られたはずだったのに…


大学への進学で上京して数年間すんでいるこのボロアパートなんかは簡単に爆破されてしまうのではないか、それは困るぞ、睡眠なんかより大変だ。


私は嫌な事を考えるのを辞めて台所に向かい朝の支度をし、大学に行く準備をする。


普段は朝食は取らないのだが、件の爆破のおかげで時間があるので食パンを食べて家を出る。


今日はサークル活動がある日だ!爆発に気を付けつつも足取りが明るくなる。


私の所属しているサークルは2人しか所属していない。まあ、なにも活動をしていない形だけのサークルだ、仕方がないのだが。


所属しているのは、私とあの人だ。無論私はあの人に恋をしている。


あの人と会うのが楽しみだな、なぜかは分からないが私とあの人が会う日は謎の現象が起きる、まあ、気にした事はない。


サークルの部屋に勢いよく入ると、そこには本を読んでいるいつもと変わらないあの人がいた。


「よく来たな、爆発に巻き込まれなかったか?」


優しい声だ、


「はい、先輩は…あれ、腕どうしたんです

か!?」


いつもだったら美しい色白の先輩の腕が包帯で包まれている、同じ白色でも包帯の白には喜べない。


「いやぁ、まったく怖い現象だな、腕だけだが、火傷した。」


先輩曰く、ピンポイントに腕だけ爆破されたらしい。とんだ災難に見舞われた、と話す先輩だが、明らかに本が読みにくそうだ。


私は何も言わずに先輩が本を捲るのを助けた。


「くるしゅうない」


それだけ言って先輩は本を読み進める。なかなかの図々しさだが先輩なので許す。


たまに先輩が話しかけてくれる、私はそれに笑って応える、たまに顔が近くて、手が触れ合って、ドキッとする、


こんな時間がずっと続けばいいのに、

そんなことを爆発音の中考えていた。


その日の帰る頃には大学の端が爆破されていたが気にするほどでもなかった。1日経って気づいたことだが、この爆発は基本的に危害を加えない、人間にも建物にもだ。


それなのに何故先輩だけ?神様ありがとう。






「今日はこんなところです、どうです?」


「終わり方が下手だ、なんだよ、神様ありがとうって、お前もまだまだだなぁ。」


「むぅ、設定は面白いでしょう?」


「…そこそこ」


「ツンデレですね〜」


文学サークルの活動は実に楽しい、こうして自分の書きたい話を自由に書けるし、何より好きな人とこうして楽しくおしゃべりができるのだから。






ちなみにこの銃声はいつ止むのだろうか?

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