第43話 選考試合 決勝戦①
遂に選考試合決勝戦。
ステージ上に居るのは俺と、クリスを倒したリア様である。
「最初はあなたは実力を隠すものだと思っていたからこんなところまで上がってくるとは思わなかったわ」
「私は別に弱く見られたいわけではありませんからね。今回は必要以上に力を隠す意味がなかっただけです」
もし、闘神祭のトーナメントの途中、つまり、勝ち抜ける5人の内に入っていない段階でリア様と当たれば俺は間違いなくそこで力を隠して負けているだろう。
しかし今回は運よくリア様と当たるのは決勝戦でのみとなった。
それならば俺が途中で負ける必要は無い。
更にシノに関して言えば、あまりに弱い姿を見せると、また俺のことを排除しに来かねない。一族の恥だといって。そうなればアークライト家に迷惑をかけてしまう。
なので結果、実力を隠す意味が無い。
まあ、勿論『破壊者』の本当の力は隠しているため、“実力を隠していない”という表現が正しいのか分からないため、必要以上に力を隠す意味が無いと言ったのだが。
「そのせいで周りは今、あなたの話題で持ち切りだけどね」
「私が弱いという評判よりも強いという評判が流れればそれだけで主人であるリア様の箔がつきますからね。良い事です」
「でも、もしここで私が負けたら私は主人のくせに付き人に負けたってなるけれど?」
「別に手を抜いて負けても良いのですが?」
「フフ、それは許さないわ」
リア様の周りが光り輝く。
「全力を出し切ってあなたを倒すの」
「それでは決勝戦、リーンフィリア対クロノの試合を始める! それでは、はじめ!」
試合開始の合図が出される。
その瞬間に光の速さで詰め寄ってきたリア様の姿がいつの間にか目の前にまで来ている。
今までの選考試合を見ていて思っていたのだが、リア様の移動速度が明らかに速くなっている。
「ハアッ!」
リア様の掛け声とともに光の速さの蹴りが襲い掛かってくる。
俺はそのスピードにうまく反応できず、その蹴りを片腕で受ける。
「くっ」
瞬時の防御であったため、衝撃を殺しきれずそのまま横に蹴り飛ばされる。
「まだまだ!」
蹴り飛ばされて体勢を崩した俺に追撃を入れるべく凄まじい速さで近づいてくる。
「
エネルギーが濃密に凝縮された極光が襲い掛かってくる。
その威力は前とは段違いだ。
「ブレイク」
俺は苦し紛れに破壊者の力を使いなんとか光は防ぐことはできたが、その後に来るリア様の蹴りには対応できない。
隙の無い攻めだ。
俺は為す術もなくまたもや蹴り飛ばされる。
「……本当に強くなりましたね」
「私だって頑張ってるもの」
現状、リア様と俺がどちらが優勢かと聞かれれば、この場に居る者は皆、リア様だと言うだろう。俺もそう思う。
前まで能力を使わずに勝てていたのが不思議なほどに強くなっている。
かと言ってこの『破壊者』の能力は能力に対して使えても無暗に人に対しては使えない。
攻撃力が高すぎるからだ。
ならばどうするか。
他の物を破壊すればいい。
「
空間を破壊する。
その衝撃で俺の前方に向かって爆発が起こる。
爆発は激しく連鎖していき、凄まじい速さでリア様の下へと向かっていく。
「
爆発と光が交わる。
高エネルギーと高エネルギーの衝突はやがて二つを呑み込む巨大な力の衝撃波が生まれる。
それはまさに床がめくれあがっていくほどに。
「こちらですよ」
「しまった!」
気付かれないようにリア様の後ろに回り込んだ俺は後ろの空間を破壊して生じた衝撃波で加速した蹴りを繰り出す。
俺の蹴りがリア様に届きそうなその瞬間、リア様の体が光に包まれる。
「
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