第11話 SIX STORYと改変2

 すると二瀬は驚きつつも、少し表情を明るくする。


「こんな身近に繋がりがあるなんて、良い偶然ですね」


 そして、


「それなら、聞き込みは川野さんにしてもらう事って出来ませんか? その方が話が早そうだし、修正チームはまだ動きませんよね?」


「えっ? わ、私がですか?」


「私が聞いても教えてくれない事を、川野さんなら話してもらえるでしょう」


 と、話を振って来る。

 

 しかし紗奈は、さあ、と首を傾げて言い淀む。


「陽兄は……逆に私じゃ話してくれないと思います」


 仲が悪い訳では無い。嫌われている訳でもなく、どちらかと言えば……愛され過ぎている、と言えるだろうか。

 普通の兄妹とは少し違った状況を持つことや、5歳離れた年の差のせいか、陽介は紗奈に対して甘い。それこそ、ケーキの上に砂糖を山盛りにしても足りないくらいに、だ。

 

 23歳の紗奈を未だに子供のように扱う過保護な兄は、会社や仕事の話など絶対にしてくれないだろう。

 「そんな難しい話はしなくていいだろ」と笑われるのが関の山だ。


 しかし、二瀬にそんな事を言っても仕方が無い。紗奈は慎重に、


「私は行ってもいいですけど、1人では無理です」


 と言う。


 すると中山が、「分かった」とうなずいて提案してくれた。


「どうせまだ動けないんだから、修正チームの誰かと行けばいいわ。じゃあ、SIX STORY方面からの捜査はこの先うちが持つ?」


 片岡は、


「それでもいい」


 と了承する。


「ありがとう」


 中山が言うと、片岡は目線を逸らして、話を変える。


「改変も起きたのにまだ犯人に追い付かない。……連携課に頼らなきゃならないな」


 二瀬がふと顔を上げる。


「連携課がどの程度役に立つかは分かりませんが、通報しますか? でも、私が先に来ていたことは一応知られないようにしたいので……」


 片岡は、分かっている、とばかりに頷く。


「俺が連絡するよ。

 それで、SIX STORYは中山たちに任せて、俺らは犯人確保に集中する。この先はそう言う事でいいか?」


「はい」


「そうね」


 各々が答えた。

 時間警察と普通警察の連携のもと、本格的な捜査が始まる。

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