第7話 過去1-2
時間警察で最も重視されるのは修正部。その部長には、広報課長の清水も逆らえない。
要するに中山は、紗奈が広報課の仕事を放り出しても怒られないようにしてあげるから、私を手伝いなさい、と言いたいのだ。
修正部の手伝いがどんな物かは分からないが、紗奈の心は少し揺らぐ。ここを離れる口実があるなら……。
だが、いくら修正部長権限でも、清水の紗奈に対する個人的なあたりが強くなるのは止められない。
紗奈は想像して首を激しく振った。
「無理です。……課長が、やっぱり」
すると中山は、心配げに紗奈の顔を覗き込んだ。
「清水に虐められてるの?」
「えっ? い、いえ、ただ私が仕事が出来ないから……」
「溜まってるって言ってた仕事、見せて」
中山は紗奈のパソコンを勝手にいじり出す。
そして、しばらくして呟いた。
「……こんなの新人にやらせる仕事じゃ無いわ。量だっておかしいし」
中山は、紗奈を見て言う。
「大丈夫? 今まで大変だったでしょう」
思いがけない言葉に戸惑う紗奈だったが、彼女の優しい視線に、張りつめていた何かが切れた気がした。
思わず視界がぼやける。すみません、と呟いて目を手で拭うと、中山が紗奈の背中を優しく叩く。それなのに、涙は止まってくれなかった。
「私は……何も出来ないから。みんなが出来る仕事も、すごく、遅くて……」
紗奈の話を、中山は相槌を打ちながら聞いてくれる。
そしてしばらくしてから、彼女は言った。
「今日はやっぱり休んじゃおうか? うちにおいでよ。大したことはしなくていいから」
手伝えと言いながら休めと言ってくるのは意味が分からないが、紗奈はもう言われるがままにうなずいた。
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