第11話 星雲議会、六姉将
黒竜フェブリスの再臨。
星雲の戦乙女ミレーが倒されたことにより、世界に激震が走る。
全国の戦乙女がひとつの場所に集まって評議会が開かれる『星雲議会』。
空前絶後の歴史の鳴動に、誰もが焦燥感と底知れない不安を抱えていた。
「すぐにでも黒竜を名乗る騎士を見つけだし討伐しよう」
「私も同意見ですわ。今こそ戦乙女たちの力すべてを結集し、世界に平和をもたらすのです」
「ま、待って、くださ、い。戦うに、して、も、あのミレー様を、赤子の手をひねるように倒された存在。無闇に立ち向かう、のは、危険、かと」
「かような悠長なことを言うとる場合かえ? 早々に見つけだしてその首をかの戦乙女様。『
「報告では依然として奴の行方は知れず。索敵魔術にも引っ掛からない」
議会に集まった各国の戦乙女たちは頭を抱える。
ミレー殺害後、黒竜とジークリンデの姿を完全に見失ってしまった。
しばらくの沈黙が流れたのち、議会の席にひとりの老婆がのそのそと現れる。
直後、大勢の戦乙女が立ち上がり、彼女を出迎えた。
「すまないねぇ。遅れてしまったよ」
「お待ちしておりました。
────お待ちしておりました!
一斉に上がる声とともに、そそと下げられる頭。
大婆様が座ったあと、彼女の合図のもと全員が着席する。
「私の可愛い
「大婆様、頭をお上げください。大婆様はなにひとつ悪くありません!」
「そ、その、通りです! ミレー様は、り、立派に戦われました! なにひとつ恥ずべきところは、あ、ありません!」
続いて口々に大婆様を慰めようとする中、ひとりの戦乙女は冷淡にも聞こえる声調で。
「して、大婆様。ことは風雲急を告げるというもの。皆の意見は一致しております。あとは、どう動くか。……ご采配を」
「ん、そうだねぇ。これ以上の犠牲を出すことはまかりならん。────
すると6人の戦乙女が立ち上がる。
「おぉ、選ばれし6人の乙女たち。死んだミレーはお前たちにとっては大事な妹分にあたる。どうか世界を、ほかの妹たちも守ってやっておくれ」
六姉神をまとめる長女役の戦乙女は自慢の武器を手に取り。
「この命にかえても」
この時代における人類最強戦力の一角がついに動き出す。
中でもこの6人はズバ抜けた能力の持ち主。
彼女らは飛び立つように議会を出た。
街路樹と衛兵が並ぶ道を進む中、6人は今後の話をする。
「黒竜を名乗る騎士、どう攻めるんえ?」
「ミレーを倒すほどの者だ。ひとりひとり行ったのではやられるリスクが高い」
「そ、そ、それじゃあ、皆で……」
「いや、それだと探すのに手間取ってしまいます。各国の諜報すらかいくぐっているのですから……」
「じゃあ6人いるから~2:2:2で探すぅ?」
「いや、私はひとりでいい。自分の国でまだやることもあるからな」
「え~、そりゃアナタはこの中で1番強いからいいけどさぁ……」
ひとりがそう言いかけたときには、その1番強いとされる戦乙女は空気の揺れすらも感じさせずにその場から消えてしまった。
「あらら、もう行ってしもうたえ。相変わらず速いねぇ」
「5人なっちゃった。じゃあ、3:2でやるしかなくね?」
「そ、そ、そうなり、ますかね?」
「じゃあ、メンバー決めましょか」
自国のことは後任候補と聖騎士に任せて各地へと散らばり、黒竜を探すこととなる。
「それじゃ、ウチらは東。アンタらは西頼みますえ」
六姉将、次女『フォイラン』。
同じく三女『カルム』。
「オッケー。なんかあったら連絡よろ」
「戦乙女の名にかけて、必ずや賊を討ち倒して差し上げますわ!」
「お、お、お願い、します!」
六姉将、四女『ジェラート』。
同じく五女『フィアンナ』。
そして六女『バートリー』。
東と西。
それぞれ違う方面からアプローチをかける。
そして忘れてはならないのが六姉将最強。
長女『ヴィクタリア』。
「黒竜フェブリス……本物かどうかなぞどうでもいい。偉大なる母様に代わり、我々が貴様を処断する!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます