死になおり ― 脳出血とICUの少女 ―

TEKKON

プロローグ

カタカタ・・・カタ・・・

モニターを見ながら単調な作業を繰り返す。


使えなくなった右手を膝の上に乗せながら

左手だけでパソコンを操作する。


元々ネット通販の店長をしていたから

少しはパソコンを触れるといっても

片手ではスピードに限界がある。

せいぜいパソコン初級者程度だろうか。


昔と比べて能力の低下っぷりに

やるせない気持ちになってしまう事もあるが、

それでも今こうやってパソコンを触って

仕事が出来る事に感謝している。


俺は高田和一、32歳。

5年前に脳出血を起こしてしまい

片麻痺と高次脳機能障害になってしまった。


あの日から人生は大きく変わった。

俺自身も周りの環境も一変してしまった。


この身体になり色々なことを経験した。

人の真心を感じて嬉しくなる事もあれば、

障害者だからいけるだろうと俺を

騙そうとする商売人に会う事もある。


今回は俺が倒れた時の事、

そして一番印象的だった

不思議な少女の話をしたいと思う。



「死になおり

〜脳出血とICUの少女〜」

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