第181話 お命だけは
本当であればレッドドラゴンに見つかった時点でなりふり構わず逃げ出したいのだが、今はそうもいかない。
フレイムとレッドドラゴンが戦う所を確認して、その戦いにより弱っているであろう勝者を俺たちで倒さなければならないのである。
千載一遇のこのチャンスを逃すわけには絶対にいかない為、俺は恐怖心で逃げ刺しそうになる足を必死に抑えて、レッドドラゴンとフレイムから視線を外さないようにする。
そして、そのフレイムはというと俺ですらこれ程までに恐怖を感じてしまうレッドドラゴンという相手に対して、まるで犬でも相手にするかのような態度で接しているではないか。
レッドドラゴンは知能が高く、五十年以上生きた個体は人族の言葉を理解でき、さらに長く生きたレッドドラゴンは会話すらできる個体もいるみたいなので、このフレイムの開口一番の煽り文句は、下手をすればフレイムにとって自殺行為にしか見えない。
いくらフレイムが強いと行っても所詮は人族なのである。
確かにドラゴノイドは人族の中では一番優れた種族である事は間違いないのであるが、それは所詮人族の中での話であり、ドラゴン相手にした場合はまた別の話である。
しかもドラゴンはその殆どの種族が炎耐性を持っており、我々ドラゴノイドにとって最大の天敵であると言えよう。
だからこそ我々はわざわざ街まで降りてギルドへ討伐依頼を出してやってあげたのである。
そして我々が依頼を出してやったというのに半年待っても一向にギルドから冒険者が派遣される気配すら無く、やっと来たと思ったら同じドラゴノイド、それも我々よりも出来の悪いフレイムではないか。
今でこそフレイムは我々より強くなっていることは、昨日の一件で理解してはいるのだがそれでも人族である事には変わりない。
流石にレッドドラゴン相手に一人で相手ができるわけがない。
その上我々と同じドラゴノイドであり、同様に炎魔術を昨日行使していたところから見てもフレイムの得意な魔術は炎系統と見て良いだろう。
その事からもフレイムはレッドドラゴンが炎耐性を持っているという事を知らない可能性が高いと見て良いだろう。
どう考えてもフレイムがレッドドラゴンに勝てるわけがない──
「……なぜ我が小さきもののいう事を聞かねばボホウッ!?」
「二度目は無いわよ? 平伏しなさいと言っているのです。 次はこの魔術をアナタにぶち込みますからね?」
「すみませんすみません調子に乗っておりましたぁっ!! あと私はメスなので卵も産めますっ!! 小さきものからすれば我々ドラゴンの卵はかなり貴重であると思うのでお役に立てると思いますっ!! だからお命だけはっ!! その今手の上に出している炎魔術段位六【業火】を私に行使するのは勘弁してくださいっ!!」
──と思っていたのだが、たった一度魔術を行使しただけでレッドドラゴンはフレイムに首を垂れて命乞いをしているではないか。
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