第5話 ひっくり返して大惨事

いつだったかお花を頂いたのです。


多分、退職の労いで頂いたのです。

ここ五年以内くらいに頂いたはずなのに、まったく思い出せません。

はい、転職の多いダメなヤツです。それだけ転職できる凄いねと褒めてもらえますが、な~んにも凄かないのです。ダメダメ人間なんですよ、私は。


さて、余談が過ぎました。


頂けると思ってもなかったので、感謝したのは覚えています。


けれど、忘れはしませんよ?

「私は植物を枯らす人」


「あ、ありがとうございます……」

と言う顔は、引きつっていたかもしれません。


だって、不安いっぱいですよ。うれしいけど、不安の方が勝るのですよ。



そうして帰宅しても、花瓶なんぞ家にないのです。


適当にグラスを見繕って、ももちゃんに許可をとって水を汲んで茎を切って投入!


「ここがいいかな~?」

なんて、ソファーに座ってよく見える位置に置きました。


悲劇は一分後くらいだったと思います。



グラスが……大回転!

飾ったとなりにはテレビ!

私は真っ青です。


もちろん、ももちゃんは大爆笑です。あんた、本当かわいすぎじゃないかオイ?



……はい、グラスが小さかったのですね。

水を拭いた私は再び幹を切りました。


だって、我が家に花瓶はないんですって!


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