第40話 声帯模写

 小学校1年生のとき親に連れられて寄席に行った。もう45年も前になるのか。

 ここ15年くらい寄席に行っていないが、年間100日通っていた期間が4年くらいあった。

 その頃、物まねのことを声帯模写と言っていたように思う。

 声帯模写の芸人は政治家の真似をよくやっていた。首相が一番多かったけど、野党の党首の真似もよくやっていた。

 真似されていた首相で覚えているのは、三木武夫、福田赳夫、大平正芳など。一番真似されていて受けていたのは何と言っても田中角栄だった。あれだけ特徴があって迫力がある人間なら真似しやすいんじゃないかと思うし、また見る側の印象も強い。

 野党の党首では春日一幸。当時の民社党の党首。この人も風貌、声柄ともに印象に残るものだった。

 今、物まね芸人として活動している人はけっこういるようだ。僕は最近の芸人には疎いけれど、政治家の真似ってやってるんだろうか。

 最近の首相にしても野党の党首にしても真似されるほどの特徴がないように感じる。

 それともコンプラじゃないけど、政治家の真似をすると色々差し障りがあるのかな。

 いずれにしても最近の政治家に迫力がある人間がいないように感じる。

 世の中全体がこじんまりして、狭い視野の中でぐちゃぐちゃ騒いでいる。政治家もこじんまりして魅力がなくなるのも仕方ないか。

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