第23話 亭主の仕事
男女雇用機会均等法をはじめ男女の平等がうたわれている。当然のことだ。
人間の価値を決めるのは人間としての行動が正しいかということしかない。行動の正しさといってもごく普通のことが普通にできることだと思っている。嘘をつかない。殺生をしない。威張らない。他人の悪口を言わない。欲張らない。盗まない。怒りに任さない。などなど。
これらができてたら立派な人だ。僕は尊敬する。
そしてこういう人は見たことが無い。世の中ろくな人間がいないということだ。
偉そうに立派な言葉を吐き散らしてる人間はたくさんいる。ネット上には溢れかえっている。
でも言葉なんていかようにでも喋れる、書ける。問題は今この瞬間の行動だ。
過去にいいことをしていたって今悪事を働いていれば悪人以外の何者でもない。
人間の価値に従って評価される世の中になって欲しいと切に願う。
別に女性のことを批判する訳ではないのだけれど、二人思い出した人がいる。
一人は二言目には夫の職業を口にする人。夫という人は上場している大企業、誰でも名前は知っているような企業に勤めているんだそうだ。しかしそんなことを言われてもこちらは困る。だから何なんだ?でしかない。でも脈絡もなく突然「私の旦那は」と言い出す。不思議な人だった。
もう一人は僕が就職して3年目の時のこと。組織の偉い人といっても本店の部長クラスだったがその人が急死しての葬式でのことだった。
僕は案内係みたいなことをさせられ記帳台の手前に立たされていた。
そこに喪服を着た細面のきつめの顔をした女性がやってきた。
女性は僕に「○○です」と怒ったような声で言った。いきなり名前を言われても困る。すると女性は焦れたように「役員の○○の家内です」と更に怒気を含んだ声で言った。あーそうかと思って会社関係の場所を案内した。女性は僕を横目でにらんで歩いて行った。
役員の妻だからってみんなが顔を知ってる訳は無かろうと思うのだけど、あの女性にとっては「役員の妻なのに知られていない」というのは心外だったみたいだ。
のちにその役員のことを良く知るようになったが、「俺は俺は!」という自己顕示欲の塊みたいな人間だった。似たもん夫婦。
亭主の仕事がどうこうというような時代ではなくなることを願っております。
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