年末テレビ特番 ジョッキー座談会2039 後編

ーーー話を戻して。今年のクラシックと言えば優駿二連覇ですね。


浅井:あれは本当に…。


沼付:羅田先生のとこにあの時俺が乗り替わりの馬がいたんだけど、あの時は厩舎全体の雰囲気がヘビーだったね。


館岡:歴史的偉業だからなァ。


吉:オークスで出鼻を挫いてやろうと思ってたんですけど、有力馬が

軒並み調子が悪かったですから…。


浅井:おかげでグリちゃんが物足りないってへそ曲げちゃって。


ーーーその結果が府中牝馬ですか?


鈴鹿:レアシンジュと走れるからダービー頑張れって言ったらやる気だしてよかったですよ。最悪、走るのを嫌がるかもしれなかったですから。


新田:僕としてはリベンジできるので大歓迎でしたけどね。


沼付:最初は一着とドベで最後は同着とかドラマかよってな。(爆笑)


鈴鹿:アレ、面白いのがレアシンジュとレジェンってダービー前のマッチアップ段階だったら斤量が1キロだけレアシンジュのほうが軽かったんですよね。

 安田記念を勝ってなかったら、レジェンが斤量分だけ負けていた可能性があるってのが。


ーーー1キロの斤量差で一馬身差出るって言いますもんね。


鈴鹿:ですです。それをぴっちり安田で勝って揃えてきて周りに文句を言わせない状態にして持ってきたのは敵ながら天晴れって思いましたね。


大将:恥ずかしながら、私あのレースをテレビで見ながら号泣しちゃって…。


吉:内藤さんも確か号泣してウィナーズ競馬の進行できなくなったんじゃなかったっけ。(笑い)


ーーーそうですね。林さんが一生懸命舵取りしてくれました。


新田:よくご存じですね?


鈴鹿:そのディレクターさんはウィナーズ競馬のディレです。


浅井:鈴鹿オーナーの被害者でしたか。


ーーー二回目に出演していただいたときにお気持ち表明のクレームが山のように来ました。


沼付:あっはっは!(爆笑)


吉:そんな酷かったの。(笑い)


ーーー視聴率もクレームも過去一でした。


館岡:がっはっは。それは困るな(笑い)


沼付:実際あの的中率でしょ? あやかりたいのと嫉妬する気持ち両方分かるわー。


新田:あれってどうやってるんです?


鈴鹿:勘です。


浅井:そんなこと言ってるから競馬場で関係者に拝まれるんですよ。(笑い)


新田:なんか競馬場でオーナーを見かけると馬券が当たるってジンクスがあるらしいですよ。


鈴鹿:だからトンカツ食ってたりしたときに写真いいですかとか話しかけられたのか。


吉:馬主席に行っても行かなくても話しかけられて大変ですね。


鈴鹿:ホントですよ。


全員:(爆笑)


ーーーそれでは残りのクラシック。菊花賞のお話を。


館岡:今年の俺の唯一のタイトルなんだよなぁ。


沼付:ンなこと言ってると川地にキレられますよ。


館岡:アイツは真面目過ぎるんだよ。


浅井:それを言ってしまうとグリちゃん以外でG1獲ったことないです。


鈴鹿:まぁ、年二十四回しかないからね。一人ずつ獲っても二十四人なわけで。


新田:最近は強者総取り傾向ですよね。


鈴鹿:血の先鋭化で特定距離が強い馬が増えてきたからね。その分インブリード(近親交配のこと)になりすぎて大手の生産牧場は困っているんだけど。


大将:やはりそういうものなんですか。


鈴鹿:騎手の皆さんは知っていると思うんですが。例えば五年前からシャルロウショック、リンガンナーティが種牡馬として大人気ですよね? シャルロウショックが今年だけで二百十頭に、リンガンナーティは百八十頭ほど種付けをしています。

 年間、競走馬というのは約八千頭ほど生産されます。つまり先の二頭だけで二十分の一、彼らはまだ若いですし。彼らの共通の親であるミュートホリデー、彼もまだ種牡馬です。

 種牡馬というのは強者、分かりやすく言えばG1勝利馬などがどうしても人気が出てしまいます。三頭の息子、娘が勝利を重ねていくと…。


吉:ミュートホリデー、いわゆるMh系の馬ばかりが生産されていく。


館岡:血統表、サイアーラインは五代目まで遡るからそこにMh系の馬が多すぎると血が濃くなりすぎて産まれてきた仔馬に障害等を抱えた奴が多くなる。


鈴鹿:その通り。外からの血を取り入れないといけないのに当てがなくなってしまう。大手は歴史が長いおかげで牝馬が共通の祖先ってのも少なくないですから。


大将:一切関係ない牝馬を購入すればいいのでは?


鈴鹿:強い牝馬は誰も売りませんし、そもそもその牝馬が流行りのMh系って事が多いです。スプリンターやステイヤーの牝馬につけるのならばクラシックディスタンス(2400メートル、俗に言うダービー距離のこと)に特化したMh系を付ける意味もありません。


大将:なるほど、難しいですね。


鈴鹿:おそらく北海道のあの大手ファームはアメリカのNb系やらNd系を必死に漁ってるんじゃないですかね。このままだと配合を三代重ねると血の手詰まりになりかねないので。


ーーー流石本職ですね。


鈴鹿:あ、いや副業です。


沼付:まだ言ってる。(爆笑)


新田:大将も普通に聞き入ってましたよね。(笑い)


大将:勉強になりました。


ーーー参考までにグリゼルダレジェンはどのようなサイアーラインで?


吉:それは聞いてみたいね。


沼付:気になったので調べたんですけど知ってる馬が一頭もいなかったんですよね。


浅井:う巻きのおかわりください。


新田:僕はビールを。


館岡:お前ら。(笑い)


鈴鹿:(苦笑)。それでは一つ聞いていただきましょうか。

 グリゼルダレジェンを遡ると母父ドゥラックはマリオンブラズ系とカビィスター系のクロス、父ゲイリーヘルはボウルモンスター系とフレイムマーク系のクロスです。厳密なものは分かりにくくなるので省きますね。

 両方とも外国…。オーストラリアとカナダの名馬なんで知らない人も多いでしょうね。最初に預けた海老原さんは海外志向なので知っておられましたが。

 マリオンブラズはスタミナが豊富な血統で、カビィスターは芝での加速が得意な血統。ボウルモンスターはスピードに優れた脚が特徴で、フレイムマークは気性がいい事で知られていました。


館岡:おいおいおい、奴さん全部のいいとこどりかよ。


鈴鹿:そうですね。彼女はインブリードも殆ど起こりませんし、先にあげたファームも喉から手が出るほど欲しいでしょうね。


ーーーもし、売るとしたら? いくらぐらいで?


鈴鹿:俺と馬券で勝負して勝ったら考えます。


浅井:遠回しに譲るわけないって言ってますね。


新田:グリゼルダレジェンが納得するわけないですしね。


沼付:で? 来年引退したら誰付けるんです?


ーーーめちゃくちゃ気になりますね。


鈴鹿:流石に秘密です。


浅井:レアシンジュは結局何つけるんです?


鈴鹿:やめて、新田騎手がまた燃え盛っちゃう。


吉:仲裁するのもう嫌ですよ。


ーーーなにかあったんですか?


鈴鹿:うちの広報と新田騎手がレアシンジュの相手を巡って大バトルして吉騎手に仲裁を頼んだんです。


吉:それはもう面倒でしたよ。そもそも君が口出しする権利ないでしょう。


新田:パル子は妹みたいなもんですから!


沼付:あっるぇー? 俺さっき入れ込むなって言わなかった?


新田:それとこれとは別です。


館岡:(爆笑)


浅井:グリちゃんの子供に私を乗せてもらえれば誰を付けても関係ないです。


館岡:それはずるいぞ!


吉:僕も乗ってみたいですねぇ。


沼付:俺も俺も。


新田:僕はパル子の子供に乗ってリベンジするのでいいです。


館岡:ブレねぇな。(笑い)


ーーーそろそろお時間となってしまいました。


吉:早いね。(笑い)


新田:古馬戦線の話、一切してないですね。


館岡:この後は例年通りのインターネット特別配信だろ?


ーーーそうですね、テレビイーストの公式ホームページから座談会の続きを見ることができます。ご覧の皆様はそちらで引き続きご視聴ください。


吉:それじゃあとりあえず、いったん〆ましょうか。せーの。


全員:よいお年をー!



制作:テレビイースト



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