女神の手違いで殺された俺は、異世界にて機械装甲を纏い美少女達と共に冒険ス!
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プロローグ・女神と転生
プロローグ「俺は転生させられた」
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
「…………」
俺の目の前に居る女性は、綺麗な顔に大粒の涙を流しながら只管に謝っていた。
何故こんな状況になっているのかと説明するなら、それは今日の昼頃まで遡る。
その日はいつも通りに学校のグラウンドにて、俺は機械装甲を纏っての訓練に勤しんでいた。
機械装甲とは、日本が独自に開発したパワードスーツを兵器に改良した物である。
元は災害現場や救助の場にて効率よく人を助ける為に開発されたのだが……いつしかそれは兵器としての利用価値を見出されてしまったのだ。
そして機械装甲を使って軍事力を高めようとした日本は、全国の高校に必須科目として装甲を纏った訓練を追加したのだ。
まったく……こっちからしたら良い迷惑だ。
「ちょっと祐樹! 余所見しないでよ! 今は訓練中でしょ!」
「あぁ悪い悪い。ちょっと考え事をな」
頬を膨らませて言ってきたのは親友の【
紫髪のポニーテールにアメジストカラーの瞳が良く似合う奴だ。
これだけの情報だと大体は女性を想像してしまうと思うが、生物上の性別は男だ!
何度か一緒に銭湯に行ってる俺が言うんだ間違いない。ちゃんとナニも付いていたしな。
女性より女性らしいそんな親友と俺は毎日、装甲を纏って訓練している。
「ほらほら! そんな動きじゃ僕には、まだまだ勝てないよ?」
「うるさいわ! お前と俺とじゃあ実力の差が違いすぎるだろ!」
そう。美玖は装甲を纏っての戦闘は全国一位の実力なのだ。
そんな馬鹿みたいに強い親友は何を思ってか、俺と毎日一緒に訓練したがるのだ。
まあ、美玖は可愛いし童貞の俺にとって女性に慣れる為の練習も兼ねて、付き合ってあげてるんだけどな。
あ、付き合うって言ってもそっちの方じゃないからな! 俺はノーマルだからな。
「そうだけどさー。んーじゃあ、僕に一回でも攻撃を当てれたら合コンのセッティングしてあげる」
「なに!? その話は本当か!」
「もちろん! だから本気で僕に挑んでよ!」
これは願ってもないチャンスが来たぞ! 美玖がセッティングすると言うならきっと集まる女子達はレベルが高い筈だ! だってあの可愛い美玖の知り合いか友達だぞ?
これは期待できる……!!
「よし! その言葉通り本気で行くからな覚悟しろよ!」
「おいで! 君の全力を見せてくれよ!」
お互いにそれだけ言うと俺は剣を構えて背中と足に付いているスラスターを点火させて、一気に美玖との距離を縮めようとした。
だが――――その時。
「ッ! なんだこれは!?」
俺の視界は突然、強烈な光と共に何も見えなくなっていった。
更に追い打ちを掛けるかのように耳にも異変が現れた。
ずっとサイレンの音が耳の奥で鳴っている様な苦痛を伴いだしたのだ。
「うるさい! うるさい! うるさい! うるさい! あ”ぁ”っ”ぁ”あ”あ”!!」
体の防衛本能なのかは知らないが、そこで俺の意識が途絶えた。
そして次に俺が目を覚ますとそこは――――。
「うわぁぁあ!! ……って何だよ……ただの夢か。はぁ……何だか妙にリアルな夢だったな……」
そりゃそうだよな。
いきなりあんな、人体に摩訶不可思議な事が起こる訳ないぜ。
夢夢、そうこれは夢だ。きっとそうに違いない! 俺は無理やりそう断定付けるとその場で再び横になった。
「にしても固い床だな……。そもそも俺は何で床で寝ているんだ? というかさっき起きた時にチラッと見えたけど……」
俺は横にしていた体を起こすと辺りを見渡した。
するとここは……真っ暗な空間で上を見ると星らしき小さいな光が点在としていた。
まるでプラネタリウムを見ている様な感じに不覚にも美しいと思ってしまった。
「いや、綺麗な光景ではあるけどさ! ますますここが何処か分かんないだけどぉおお!!」
頭を抱えて叫ぶ俺。
きっと傍から見たら薬でもやっているんじゃないと、思われる事間違いない。
しかし……そんな事をしていると背後から突然、女性の透き通るような声が聞こえてきた。
「やっと起きましたね!」
俺はその声で反射的に後ろに振り返ると、目を疑わずにはいられなかった。
そこに居たのは白い修道服のような物を着て、人間離れした綺麗な白い肌に純白の髪、それに晴れた空のような明るい瞳を持った女性が居たのだ。
「えっ? だ、誰ですか!?」
ま、まってくれ! こんな訳わかんない場所で美少女に話し掛けられるだと!?
いやいや……そんなアニメやラノベ見たいな展開あってたまるか!
だとしたらこれは俺が作り出した幻? どんだけ童貞こじらせてるんだよ俺は。
そんな事を考えていると女性はハッとした表情を見せて話し始めた。
「あっ! ……すみません自己紹介が遅れましたね。私の名前は女神ヴィクトリア。異世界に勇者を送る役目をここでしています!」
「は……? め、女神? 勇者? ど、どいうこと?」
普通に怖いんだけど。初めてあった人に女神とか勇者とか言う人。
もしかして見た目は美少女だけど中身はやばい人なのでは?
「あははっ。こんな事いきなり言われても困惑しちゃいますよね? では最初から順を追って説明しますね!」
「あ……はい。お願いします……」
何を笑っているんだ。このヴィクトリアとか言う女性は。
こっちはさっきから状況に置いてかれっ放しなんだぞ!
でもその微笑み可愛いのでもっと見せて下さいお願いします。今夜のオカズにします。
「ではでは! まずは貴方がここに呼ばれた理由からですね! それはズバリとある”異世界”を救って欲しいからです!」
「い、異世界?」
「そうです!」
ヴィクトリアは胸を張ると、俺に人差し指を向けて言ってきた。
そして今の俺には異世界と言う単語より、目の前のおっぱいが気になってしょうがなかった。
あの服装で胸を突き出す姿勢をとられると自然と胸部が強調されて服の上からでも、おっぱいの形と大きさがまるわかりなのだ。
まあ本人は気づいてなさそうだけどな。なんか誇らしげに語り始めてるし。
「――――という事なので! 異世界攻略お願いしますね!
「あ、いえ違いますけど」
「えっ?」
「えっ?」
お互いに困惑した表情をみせあっている。
「あのー……神凪美玖さん……ですよね?」
「違うって言ってんだろ」
ヴィクトリアはさっきまでのにこやかな表情とは裏腹に、額から汗をどんどん流しながら再び俺に名前を聞いてきた。
何度言っても変わらんぞ。
俺の名前は【
「貴女がさっきから言ってるのは俺の親友のことだぞ」
「えっ!? えっ……ちょちょっと! 待ってて貰えますか!?」
ヴィクトリアはそう言って後ろの方に走っていった。
話していて気づかなったが俺の前には机や椅子に珈琲メーカーやらが置いてある、ちょっとした休憩室みたいな場所があった。
きっとヴィクトリアはそこで俺が目覚めるを待っていたのだろう。
てかベッドまであるじゃないか! だったらそこまで運んで寝かせといてくれても良かったんじゃないの!? 女神でしょぉ!?
……てかさっきからアイツは何をそこで書類やら本を床にぶちまけて漁っているんだ?
俺はヴィクトリアの奇行な行いを呆れた視線を向けて見ていた。
やっぱり危ない人なんじゃないだろうか?
しばらくするとその奇行な動きは収まり、トボトボと弱い足取りでこちらに向かってきて俺の前で足を止めた。
そしてヴィクトリアは一呼吸した後、それそれは綺麗なお辞儀を俺に見せてくれた。
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
「…………」
俺の目の前に居る女性は、綺麗な顔に大粒の涙を流しながら只管に謝っていた、と言う訳だ。
いきなり泣かれながら謝られても意味わかんないんだけどな。どうしたら良いのこれ?
とりあえず……謝られている理由を聞くか。じゃないと話進まなそうだしな。
「えーっと、なんで俺はそんなに謝られているんですか?」
「そ、それはそのー……話しても良いんですけど……怒らないって約束できますか?」
俺がそう聞くとヴィクトリアは目を逸らして手をモジモジとさせて言ってきた。
なんだよその可愛い仕草。アニオタの俺の心に響くじゃないか!
クソッ! これだから見た目美少女は困るんだぜ!
「もちろん。怒らないので話してくれますか?」
精一杯の笑顔と絞り出したイケボ風な声で返すとヴィクトリアは少し安堵した表情を見せた。
何だろうな。この女神は感情が桁違いに豊かなんだな。
表情筋が忙しそうだ。
「じ、実はですね! 本来ならここに神凪美玖さんが来て異世界を救って貰おうかと思ってたのですが、何を間違えたか貴方を”殺して”ここに呼んじゃいました……。てへぺろ!」
「てへぺろ! じゃねえよ! お前ふざけんなよ!」
おいおい。この女神いま俺を殺して呼んだって言ったよな!?
もしかしてこれってやり方は乱暴だが、異世界転生という奴なのでは?
……って! 今はそんな悠長な事を考えている場合ではない!
俺には聞くべき事があるだろ!
「ひいッ! お、怒らないって約束したじゃないですか!」
ヴィクトリアは俺の怒号を聞くと身をビクッっと大きく反応させて若干、いまだに涙目だった。
「うるさいわ! ボケ! そんな事より間違えて俺を殺したなら直ぐに生き返らせれるのか?」
「それはちょっと……神々の規定により難しい……というより不可能に近いかなっと」
うっそだろ! 俺はこんな感情が激しい女神に間違えて殺された挙句に、生き返ることすら出来ないのかよ!
そんなのありえないだろ!
俺は感情的になるとヴィクトリアの肩に掴みかかっていた。
「ちょっ! 何ですか! 童貞のまま死んだからって私を襲って責任取らせようとしているんですか! そうなんですか!?」
「おいばかやめろ! そんな事をしたい訳じゃないんだよ!」
「じゃあ何なんですか! この変態!!」
別にここで襲う程、俺は溜まってないわ! 後で自家発電はするかも知れないけどな。
そんな事より! 良くもまあ、一瞬でそこまでの発想にたどり着くなこの女神は。
コイツの方がよっぽど変態だろ。それに俺の今の目的はただ一つだ。
「俺は……ただまだ日本でやり残した事があるから生き返りたいだけなんだよ……」
そう。この願いに尽きる。だって! 部屋にエロゲーとか同人誌置きっ放しなんだよ!!
あんなの親友や親に見られたら俺はお仕舞いだァァ!! 死んでも尚、きっと変態レッテルが外される事はないだろう。
そんなの死んでも死にきれねぇよ!
「すみません……それでも生き返る方法は…………あっ!」
「あっ?」
ヴィクトリアは考える素振り見せると、何か思いだしたのか目をパチクリさせていた。
「ありましたよ! 生き返る方法が一つだけ!」
「ま、マジでか!?」
「はいっ!」
おぉ! でかしたぞヴィクトリア!
よしよし、何か知らんけど生き返れる希望が見えてきたぞ!
それでそれで! その方法はなんだね!
「その方法……それは異世界にて魔王を倒し平和をもたらす事です!」
「そ、それで生き返れるのか本当に?」
「ええ! しかもそれだけではありませんよ! なんと魔王を倒すことが出来たのなら、上級の神々達がどんな願いも叶えてくれます!」
おぉおおお!! それは良いなぁ!
……ん? 待てよ、てことはもし異世界での生活が気に入ったらずっとそこで過ごせるってことか?
ハーレム的なお願いも叶えて貰えるのだろうか!?
日本ではモテなかった童貞の俺だが、別の世界でならモテるのでは!?
そう思うと案外、殺された事に関しては寛容になれそう。
「よし! 俺は異世界を救いに行くぞ!」
そうだ……忘れかけていたが、この展開は良くラノベで見る異世界転生あるあるだ!
ならばきっと愉快な仲間達と綺麗なお姫様に会えるに違いない! うぉおお! ワクワクしてきたぁ!!
「本当ですか!? 本当にですか! ありがとうございます! ありがとうございます!」
ヴィクトリアは俺の右手を両手で握ると同じ言葉をずっと言っていた。
これが女性の手の感触か……凄く柔らかいなまるで餅みたいだ。
よし後で洗わずにこの手を使おう。
というか、それほど俺が異世界に行くのは嬉しい事なのだろうか。
もしかして異世界とは俺の想像しているファンタジーとかじゃなくてガーゴイル見たいなゴリゴリの悪魔が居るダークファンタジーの方なのか……?
いや、今はそんな事気にしている場合ではないな。
結局やらないと俺は日本に帰ることすらできないからな!
「それでは早速、異世界に送るのでこの魔法陣の上に立ってください!」
ヴィクトリアに言われるがままに俺はチョークらしき物で書いたであろう、陣の上に立つと一つの疑問が生まれた。
「ねえ? 俺ってば異世界言語とか分からないんだけど」
「あー。大丈夫ですよ! こっちで何とかしておきます!」
何とかって何だよ! 凄い気になるじゃないか!
俺の体にこれ以上の負荷をかけないでくれよ!
例え死んでいるとしてもだ! 俺は仏様やぞ! 丁寧扱えこの感情女神がよお!
「よーしっ! 準備完了したので送りますね! あ、そうだそうだ! サービスで貴方達が使っていた機械装甲? とやらを向こうでも使えるようにしときますね!」
なんだと!? それが本当なら凄くてありがたいぜ!
使い慣れたあの装甲さえあればどんな場所だろうと俺は無敵だぜ! 多分。
親友には一度も勝てなかったけど。
まあ無いよりマシって感じで頑張るしかないな。
そう言えば異世界転生あるあるの一つ”転生特典”でチート級のアイテムや装備やステーテスって貰えないのだろうか?
ほんと今更気づいたけど。聞いてみるか? まだそれぐらいの余裕はあるだろう。
「あのー? ヴィクトリアさん? 転生「さあ! 行きますよ祐樹さん!」とk」
えっ? そんな早くに異世界送りって出来るものなの?
なんか膨大な魔力を使って時間を掛けてドカーンとやるイメージがあったのだが……。
あくまでもラノベやアニメのイメージだけど。
「あ、いやいや違う違う! その前に転生特典の話をッ!」
「私たち女神一同は貴方が魔王を倒すことを願っています! それではいって……ら!?」
俺はヴィクトリアがカッコよく決め台詞らしき言葉を語っている最中に、手を伸ばして服を掴んだ。
駄目だ! あの言葉を最後まで言わせたらきっと飛ばされる! ならばその前に特典の話を!!
しかし――――俺がヴィクトリアを掴んだと同時に魔法陣は七色に輝き始めた。
「ちょっと! 離して下さいよ! 何ですかやっぱり襲う気ですか! 異世界に行く前に女神を傷物にしていく気ですか! これだから童貞は!」
「違うって言ってんだろ! お前は俺にどんなイメージ持ってるんだよ!」
ヴィクトリアが俺の手から逃れようと服を引っ張るが、こっちだって本気だ!
今後の異世界人生が掛かっているんだからな!
「良いから離して下さい! このままでは私まd――――」
「うわっ!? 何だこr――――」
七色の輝きはより一層に眩しくなり辺り一面を照らすと、やがて俺達はその言葉を最後に光の中へと包まれていった。
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