第4話

楓side


家に帰ってからも、僕はあの美山の行動について考えていた、美山のガワに関してはゲームのまま、可愛らしい高校生だ。だが中身は完全に別人格が宿っていると考えていいだろう


かくいう僕も転生者だ、この世界を舞台にした乙女ゲーもプレイしたことがあるためシナリオやイベントもわかるし、どのキャラがどんな性格かも知っている。だから僕は美山がおかしい原因がわかったし、これから先自分の身に何が起こるかを昔から知っていた


ゲームでは今回美山が起こそうとしたイベントで美山と僕が仲良くなり幼馴染の夢と美山が僕を取り合う、と言う内容の日常が始まるはずだった。と言ってもゲーム内でそれが起こるのは初期の初期なので、すでにゲームのシナリオからはずれているが


僕がこの世界に気づいたのは小4の頃

その頃僕は今の恋人である夢のことが好きだった、なんなら愛していたと言ってもいいくらいだ。今思えば少々重いが、僕は一生夢を愛せると言う自信があった


玄弥は夢のことをヤンデレだというが、その元凶は僕であり、そうなるように今まで努力を積み上げてきた


だからこそ、僕にはあんな女に構う時間はない


今現在美山は僕との距離を無理やり縮めようとしている

それも中身はゲームのシナリオを忠実に再現しようとしている転生者だ


僕からしたら迷惑極まりない、というか玄弥も転生者だろう、ゲームと性格が違いすぎて一瞬でわかった。といっても彼はゲームを知らないようだけど


当面の目標は美山に原作再現を諦めさせることになる

ゲームだとさっきのイベントから僕と美山の距離が縮まって友達になるはずだった、だが玄弥がいい感じに仕事をしてくれたおかげで距離は縮まっていない


原作の美山は嫌いではなかったが今の美山は中身が転生者なだけに自己中心的な考えのみで動いているような気がする

もちろん僕も勝手に夢だけを愛すると決めてシナリオを書き換えた自己中だから何もいえないがそれでも朝のあれは目に余る

まるで玄弥のことを踏み台かのように考えているようだった




僕は原作に従うつもりは一切ない


僕の恋人は夢ただ1人だけだ


そして僕の親友を馬鹿にするような態度をとった奴に靡くほど、僕は馬鹿じゃない


君は僕の敵だ、美山

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