第22話 鏡の谷
「ここが第二の試練〝鏡の谷〝や!
まあ、頑張ってな!!!」
そう言うとツバメは空高く飛び上がり、その姿はすぐに見えなくなってしまった。
「あっ、、、ありがとうーーー!!!」
見えなくなったツバメに大声でお礼を言って、手を振る姿が詩織らしいなと思った。
「ノアくん、レアちゃんも一緒に来てくれてありがとうね!」
鏡の谷までは大きな鴉に乗り、ツバメの後を追って来た。
ノアくん、レアちゃんも着いてきてくれた。
「俺たちも詩織の試験気になるから!な!レア!」
「そうね!ノア!」
ニコニコしている二人に癒される。
「ここで私は何をしたらいいのかな?」
ここは谷の底。
普通の谷と違うのは、無数の鏡が落ちているところ。
中には地面に突き刺さってる物なんかもある。
日光を反射する物もあって眩しい。
今は太陽の光が届くが、夕方ごろには暗闇になるだろう。
横幅は100メートルくらいだろうか。
前を見ても、後ろを見ても終わりが見えないことから相当長い距離の谷らしい。
深さはマンション20階分程はありそうだ。
壮大な谷の姿に感動してしまう。
「「もうすぐわかるよ!ほら!」」
ノアくん、レアちゃんが同時に言葉を発し、同時に詩織の頭上を指差した。
詩織の頭上には透き通る羽根の生えた、小さな人間が腰掛けていた。
「妖精!!??」
僕の言葉に驚いたのは詩織だ。
「妖精!!??私の頭の上に妖精さんが居るの!!??」
詩織が一生懸命自分の頭上を見ようとする。
顎を上げたり、クルクルと回ったり。
「ふふふ!それじゃ見えないわ!」
妖精は口元に手を当てて、鈴の音のような声で笑っていた。
それから フワリ と飛んで、今度は詩織の目の前で飛んでいる。
「こんにちは、詩織!
私は鏡の妖精シルビア!よろしくね!」
「わあ!!!よろしく、シルビア!!!」
詩織がこの世界に来てから1番の笑顔を見せてくれて、僕は少しホッとした。
「すごく綺麗な銀の髪ね!長くてサラサラ!
その素敵なお洋服はどうなっているの?白い百合の花みたい!
まあ!妖精さんもヒールを履くのね!お洋服と同じ色で最高!
あー!羽も素敵ね!透き通っていてすごく綺麗だわ!
肌の色も白くて本当に可愛い!」
妖精の見た目を褒めまくる幼馴染を見て、また少し不安になった。
詩織はどうしてしまったんだろうか。
僕、ノアくん、レアちゃんは見たことのない詩織の姿を無言でその場で見ていることしかできなかった。
しばらくすると妖精を観察し、褒めちぎっていた詩織と目が合う。
「あ、、、。
あのね!私小さい頃から絵本に出てくる妖精さんが大好きで、、、。
ちょっと興奮しちゃった、、、。」
詩織はそう言いながら真っ赤になった顔を両手で隠す。
まさか魔法の世界で幼馴染の知らない一面を見るとは思わなかった。
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