情報屋としての新しい生活

村から逃げるように街へ出てきた私は路地裏に座り込み「これからどうしよう……」と小さく呟いた。村から出なかった私は初めての街に困惑しながらもこれからの生活を考えていた。「そうだ……情報屋になればお金も入ってくるかも……」ふと、思いついたことを呟けば私は立ち上がり目を擦った。「村のみんなの為に……リリーの為に……負けちゃダメだまずはあの男の人を調べなきゃ……」そこからの行動は自分でも早かったと思う。持っていた所持金全部で部屋とパソコンを揃えた。 「そうだ名前…… Foncé……フォンセにしよう。」カチャカチャとパソコンを操作し、情報屋としてのサイトを立ち上げた。(お父さんに教えて貰ってて正解だった……大丈夫上手くやれる……大丈夫)そう言い聞かせながら私は新しく『情報屋フォンセ』としての生活を始めた。




情報屋としての生活を始めてからまずは村を襲ったあの男について調べた。私の村を襲った奴らの名前は【サフズル】と言うらしい。珍しい体質を持った者や財宝を奪う所謂、盗賊団と言われるものだった。「こいつらが……リリーを……村のみんなを……」許せなかった。こんな奴らに親友や家族を奪われたなんて……そう考えながらサフズルについて調べているととある組織についての記事に目が止まった。その記事によるとサフズルと敵対している盗賊団らしい。「…… Abgrundーアップグルントー……確かここグレイネスの言葉で奈落……だっけ。」そう呟いたあと私は小さく笑みを浮かべた。この組織に入れば自然とサフズルに会うかもしれない。どうすればアップグルントと会えるかと考えれば私は口元が緩んだ。(そうだ……私は情報屋だもん……この人達が目を付けるくらい仕事をこなしていれば必ずコンタクトが取れるはず)そんな事を考えながら机に突っ伏したまま私は眠りに落ちた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る