クラスメイトの眠桐さんが全力で寝かせようとしてくる~頼むから眠らせないでくれ~
桜ヶ丘都冨
第1話 寝かせに来る眠桐さん
キーンコーンカーンコーン……。
「はーい、席についてくださーい……」
ふわりと、教室に響く柔らかいチャイムと、
眠そうな担任の声。
ここは、布山高校——2年の教室。
学年が変わっても、顔ぶれはあまり変わらない。
俺は……まあ、クラスメイトとは仲はいい方だと思う。
……たぶん。窓の外ばっかり見てる俺が言っても、説得力ないけどな。
ふあぁ……
欠伸をひとつ、控えめにこぼす。
そして、視線を戻す先にいるのは——
俺の隣の席に座る女の子。
眠桐
俺が少しでも眠そうにしてると、全力で寝かせに来ようとする子だ。
1年のときも同じクラスで、席は自由。
……で、気づいたら、彼女は俺の隣を選んでた。
あのときも……寝かせられたっけ。
なんて、ふと懐かしさを噛みしめながら、眠気をこらえてノートを開いた——
その時。
すっ……
彼女の手が、動いた。
俺と彼女の席は、ほとんどくっついていて。
その距離の近さを利用するように、
彼女の指が、そっと——俺の頭を撫で始めた。
……あ、やばい。
眠桐さんの“なでなで”は、反則級にうまい。
指先の温度と、やさしいリズムが、頭をじんわりと包み込んで……
「……っ、やめてくれ……頼むから……」
心の中で叫んでも、手は止まらない。
ふわ……
指が耳の横を通るとき、心地よい風の音がしたような気がした。
ああ、だめだ。落ちる——
……すやぁ。
「寝ちゃっ……た? ……ふふ、やった」
耳元で、そっと。
吐息まじりに笑う彼女の声が、夢の中までついてきた。
……ハッ。
どのくらいの時間、眠っていたのだろうか…?
俺は、一体……?
眠桐さんに寝かされて…
と目を覚ますと、すでに一限目は終わっていた。
マジかよ……。
いや、次こそは……! 二限目は絶対に寝ない!
そう心に誓って臨んだ、二限目のチャレンジは——
……惨敗だった。
どうしてだ……?
俺はこんなにも抗っているのに……!
眠桐さんに、勝つ方法が……ない?
くっ……明日は……
絶対、負けないからな……!!
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