第9話 消えゆく妄想

 放課後、今日から始まるお泊まり会に不安を少し覚えながら俺はさっき凛花が言っていた『あとでね』が忘れられず美玲を説得して少しだけ待ってみることにした。


「ねぇ〜早く帰ろ〜よ〜。凛花さんも忘れてるでしょ〜多分。私、準備しないといけないんだけど〜」

「まぁ、あと10分だけ待ってみよう、何か大事な話があるのかもしれないじゃん。」

「10分だけだよ!」

と、その時。

「拓磨〜。いる〜?」

噂をすればなんとやらだ。凛花が本当に来た。後ろに颯斗もいる。

「凛花、颯斗〜。こっちこっち〜」

「おぉ、本当に来た。私こないと思ってた。」


 凛花と颯斗がこっちに来た。

 2人とちゃんと話すのは昨日ぶりだけどなんかもっと長い間話してなかったかのような、そんな気がする

「で、なにか話でもあるの?」

「私たち、予定あるので手短にお願いしますね」

「…え?なんで樋口さんがここに?…まぁそれはともかくとしてだよ。拓磨、テスト勉強してる?いつもテスト一週間前になったら教えて〜ってくるのに今回こないんだもん。心配しちゃって。」

 凛花は俺の姉みたいな感覚なのか…?

その優しさが今は辛い…

「お構いなく。拓磨に勉強を教えるのは今日から私の役目なので。」

 美玲が切り込んだ。でもなんか若干ドヤ顔気味な顔してるのは気になる。

「え?あ、そうなんだ…この後2人でどっか行って勉強会でもするの?」

「いえ、今日から!!!拓磨の家に!!私が泊まり込みで!!!2人で!勉強会します。」

「ええええええええ!?それはまずいよ拓磨!!!!破廉恥だよ!」

 凛花も颯斗もギョッと驚いた顔をしてる。

ていうか俺への質問さっきから美玲が答えるから蚊帳の外じゃんか。

「…なぁ、拓磨。俺たちも泊まっていいか?」

「…え?」

 ここでずっと静観を貫いてた颯斗が聞いてきた。

 俺としては2人が来るのは別に構わないし昔からよくあったことだからいいのだけれど今はメンタルがこの状況だし…あと美玲めっちゃ嫌そうな顔してる、、、

「そ、そーだよ!4人でやれば勉強だって2人より捗るよ!!!そうしよう!!!」

 凛花が颯斗の意見に賛同する。

 美玲が俺の腕を掴んで凄い勢いで首を振ってる。多分人見知り発動だ。ちょうどいい機会だし、美玲もそろそろ人と接するの慣れておかないと後々困るだろうから親睦会兼ねてみてもいいかな。

 てかこうなったら俺が2人の意見を折ることできた試しないし、2人には合鍵渡してるから断っても多分くるだろうし。

 渋々だけど了承するほかない。

「まぁ構わないけど。2人はそれでいいの?」

「あぁ、俺お前とは一回ちゃんと話しつけときたいことあるし、ちょうどいい。それにお前もさっき言ってたけど俺来週のテスト後の試合先発だからよ。お前といたらピッチング練習もできて、なまらないで済む。一石二鳥ってやつ。」

「私も成績トップ層だった樋口さんと颯斗に教えてもらえるのはレアだから全然!」

「まぁ、なら帰ったら俺ん家きてくれ。」

「おう。でも俺部活あっから少し遅れてくわ。先行っといてくれ。」

「…了解。がんばれよ。」

「ああ」

「あ、私も吹部あるから!先行っといて!後で颯斗と行く!」


2人はそういうと一緒に部室棟へと向かっていった。

「さて、俺らもじゃあ帰るか。美玲準備忘れ物ないようにしろよ。…なんか怒ってる?」

「べっつにー?ただ、拓磨がものすごくニブチンなの再認識したくらいだし!ほら、早くいくよ!」

「ちょっ、まって!」

 語気が少し強くなっていたけど、、、やっぱり勝手におせっかい焼いたの怒ってるのかな、、、



「うぅ〜…私の2人だけになるはずだった時間がぁぁ…」



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おかげさまでラブコメ部門日間ランキング100位以内入れました。めっちゃ嬉しいです。次は50位以内行けたらいいなって図々しく思ってます、、、

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